綱とりに挑む安青錦(21=安治川)が、初日を白星で飾った。小結若元春(32)の立ち合い変化に対応して寄り切った。今場所から、横綱千代の富士を意識した締め込みに新調し、心機一転。3場所連続優勝と、横綱昇進へ向け、好発進した。
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考えるのではなく、体が感じた。立ち合いで、若元春が左へ変化してきた。安青錦はしっかりついていき、慌てない。いつも通りに前傾を崩さず、左で前まわしをつかんだ。必勝の形を作って寄り切った。「頭の中というよりは、体がしっかり対応できて良かったです」。相手の奇襲に崩れることなく、勝ちきった。
初日は最も緊張する。2場所連続優勝した先場所も、そう明かしていた。今場所も同じ。「いつもと変わらず、だいぶ緊張しました」。顔に出る力士ではないが、内心は違う。それでも「受け入れるしかない。(緊張を)楽しむというのはない」と腹をくくって土俵に立っていた。
締め込みを新調した。先場所は12日目から師匠の安治川親方(元関脇安美錦)が現役時代に締めていたものに替えたが「だいぶ使ったから、ぬらさないと黒く見えない」という事情もあった。もともと大関に昇進したら黒に替える予定があり、後援者から贈られたものが2月に完成していた。
安治川親方が思いを明かす。「千代の富士さんが締めていたものと同じような黒で作ってほしい。そんな頼み方をした」。体格が似る大横綱を意識した色使いでもある。大阪入りする前、かつて安治川親方の付け人を務めていた元扇富士の中澤利光さんが、部屋の若い衆に新品の締め込みの折り方を教えて出来上がった。多くの人の思いがこもった逸品でもあった。
周囲の期待感は、安青錦が十分心得ている。「すごくありがたいことに、皆さんに注目されている。その中でいい相撲が見せられるように頑張っていきたいと思います」。前相撲から所要16場所での横綱昇進なら史上最速(年6場所制以降)。いつも通りの流れを、自らの手で引き寄せにきている。【佐々木一郎】

