日本人は、世界中で活動している。日本政府は、その地で20人の児童がいれば日本人学校の設置を認め、先生を派遣する。設置者は、その多くは現地の日本人会。校舎を借りるか、自分たちで作るか、難しい話ではある。
もう10年以上前になる。カタールの首都ドーハに日本人学校を作りたいという陳情あり。日本大使館を通じて政府に訴えればいいのに、ドーハの日本人会はそうしなかった。「ドーハの悲劇」を再現したくなかったのだろうか。そう、児童数が11名しかおらず、政府は受け付けてくれない。
「11名しかいないのなら、残りは現地人を入学させればどうですか」。私の出した案。
ドーハに飛び、教育大臣と会う。「カタール人も日本の教育を受けさせたいという人がいます」と大臣。「それなら日本人学校を開校させます」と答えると、「タミーム皇太子殿下と相談して下さい」と大臣が言う。皇太子殿下が財務責任者だというのだ。
宮殿で殿下と会った。2メートルの長身、当時まだ20代だった。「私もIOC委員で、クウェートのシェイク・アハマド殿下から、あなたの話を聞いています。日本人学校はOK、わが政府が金を出します。私は大賛成です」と若き殿下。
ビックリした。カタール政府が日本人学校を作ってくれるのだ。条件は、学校内にイスラム教の礼拝所を設ける。給食には豚肉を使用しない。現地人の女児には頭にスカーフの着用を認める。ただ、教室内でのスカーフは認めないと拒否したが、殿下は理解された。
タミーム殿下は、クウェートのアハマド殿下に電話をしてくださった。「日本と韓国のハンドボール連盟へのペナルティーを軽く…」。あの“中東の笛”問題だ。両国に罰金1万円で決着したが、タミーム殿下のおかげだった。
日本人学校は立派に運営されている。日本の教育を受けるカタール人も増加中だとか。タミーム殿下は、父王が引退されたため、首長の座に就かれた。陸上世界選手権、サッカーのW杯開催、スポーツ好きの王様は親日家でもあられる。

