8月末に開幕したSSK杯関東連盟秋季大会は9日から決勝トーナメントが始まる。57チームが10ブロックに分かれた予選リーグに、ベンチ入り11人すべて女子選手の香取ポニーナデシコチャーミングが初参加して、大敗も初勝利も経験した。ポニーだからこそ実現した「香取の挑戦」。その第1歩をリポートする。

【香取ベースボールアカデミーに誕生】

千葉県の北東、茨城の県境に位置する香取市の名所・香取神宮から車で10分ほど走り、竹林の小道を抜けると香取ベースボールアカデミー「ドリーム球場」に到着した。香取市をはじめ成田市、佐倉市など北総地区の野球少年が集まり13年前に設立した。地元の協力者に借り受けた竹林を自分たちで開拓した。現在の部員数は52人。4年前からポニーに加盟して、複数チームを編成して各大会に参加している。

その一環で誕生したのが香取ポニーナデシコチャーミングだ。関東の中学硬式野球の女子チームはリトルシニアに4つ、ヤングリーグに1つある。いずれも各チームから女子選手を預かる形なので活動時間に制限があり、出場できる大会も少ない。単独チームが作れれば、「試合で育てる」ポニーに受け皿があると気付いた羽生惣亮代表が、女子小学生の北総選抜や近隣の地域に選手を求めると11人が集まった。これに自身の長女千穂(3年)を加えた12人が創設メンバーに。今大会は1年生だけ11人で参加している。

初戦は江東新砂ポニーに3-7で敗れた。取材した2試合目のさいたまポニー戦。明るくグラウンドに散ったナデシコは初回に林香凛の二塁打で先制、3回表には4安打に四球が絡み5点を奪った。先発投手の尾形千里主将は「いつも以上に声が出ていたし、この雰囲気のままなら勝てると…」。初勝利を意識したその裏、さいたまベンチの表情が変わった。11安打に4四球、連鎖反応のように失策も続き15点を奪われた。結局、6-20で5回コールド負けした。

試合後、選手だけのミーティングは30分を超えた。反省点を尾形主将に聞くと、小さな手帳にメモした内容の一部を教えてくれた。フライの捕り方や打席でも待ち方など技術的なことから、「人のためにプレーする」といった精神的なことまで、勝つための課題だった。指導部の斎藤孝雄氏は「がんばったと思います。先制したし、チャンスで一気に畳みかけました。急速な進歩です」と目を細めた。

結成から6カ月。ここまでの道のりを聞く中で、尾形主将は「みんな『女子だから』と見られるのは苦手なんです」と話した。女子だけのチームだからといって、男子主体のチームに勝つのに、有利になることは何もない。1週間後の9月18日、ナデシコはイースト東京ポニーを2-1で破った。その後、リーグ戦を1勝4敗で終え、グローイングアップトーナメントは1回戦で敗退した。女子だけのチームが挙げた歴史的な白星を、彼女たちは忘れないだろう。ただし、目指しているのは、白星が特別じゃなくなること。ドリーム球場で見る夢は、どんどん大きくなっていく。

【さいたまポニー リードされて慌てた】

5点ビハインドを3倍返しで逆転した。4番打者で3回だけで2安打の羽賀隼太郎(2年)は「リードされて慌てました」。最後はマウンドに上がり乱戦を締めくくったが「デッドボールを当てちゃいけないと思ったし、投げにくかったです」と話した。順位決定トーナメントに進出したが、決勝トーナメントは逃した。