サッカーのワールドカップ(W杯)北中米大会が開幕する6月11日(日本時間12日)まで、今日12日であと30日に迫った。

8大会連続出場の日本代表は、15日にメンバー26人が発表される。その国民的行事を前に、日刊スポーツ評論家のセルジオ越後氏(80)が“監督”となって独自の視点で26人を選んだ。一番のサプライズはFW鈴木優磨(30=鹿島)の選出か。5大会連続出場を狙うDF長友佑都(39=東京)は落選した。

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僕が生まれた人口約2億1300万人のブラジルでは、サッカーは国民の人生そのものなんだ。だから、1億人以上の監督、評論家がいるといわれている。日本にもW杯前になると、たくさんの監督が現れる。僕も今回、日本代表を選ぶ監督になってみた。

注目のFWを発表するけど、上田綺世、小川航基…ときて、僕は鈴木優磨を選ぶ。この名前は、おそらくインパクトがあるだろうね。

でも、出している結果を見れば、彼は代表に入る権利があるよ。実力があるから呼ぶんだ。23年が14得点、24年が15得点、J1優勝の25年が10得点と、数字を残しているよね。国内では抜けていますよ。

森保一監督がどんな理由で呼ばないのか。仮に彼が代表に興味がないなら、説得してでも呼ぶのがフロント(日本協会)の仕事だよ。はっきりモノを言う性格なんだろうけど、鹿島で鬼木達監督らは使いこなしているよ。

代表で中心になった上田とは、鹿島時代の22年に4カ月ほどコンビを組んでいたけど、2人のプレーは合うから、おもしろい。鈴木優はゴール前に固執した動きだけでなく、左右や2列目でも仕事をする。守備もサボらない。運動量がすごく、けがで現実的に間に合わない南野拓実のような仕事ができるんだ。

今から呼んでも時間がない? 代表選手はそもそも、時間は関係ない。佐野海舟はすぐに適応したよ。実力があれば大丈夫なんだ。僕が監督なら、鈴木優を口説きにいく。それで無理だったら、3番目のFWは町野修斗を選ぶ。

MFは三笘薫の負傷が気になるけど、そのアクシデントとは関係なく、僕は2大会連続で相馬勇紀を選ぶ。国内組では得点、アシストを数字で残せ、守備の強度も高い。特にFKがうまい。中村俊輔コーチを招いたのに、FKの適任者が不在では話にならない。左右のウイングやシャドーもできるのも大きい。

ボランチには守田英正を絶対に選ぶ。W杯最終予選後は、体調不良もあって選外だったけど、かじ取り役は彼が担ってきた。今季の欧州CLで8強に進んだスポルティングの主力だ。W杯で日本が勝ちたいなら、鈴木優と同様、チーム内ではっきり主張できる人間が必要だよ。

DFでは左ひざの負傷で離脱していた町田浩樹を、間に合うなら選ぶよ。不動の左利きセンターバックが復帰できれば、伊藤洋輝や鈴木淳之介をウイングでも使え、起用の幅が広がる。町田が間に合わない場合、冨安健洋。けがを繰り返して不安があるから、補欠の扱いになるけどね。

4大会連続でW杯に出場してきた長友についても、意見を言うよ。僕なら選出しない。これまでのプレーには敬意を表するけど、最近は代表に選ばれてもベンチにも入れない。ベンチに入った選手のポジションを、スタンドにいる選手が奪えるはずがない。ムードメーカーが必要というなら、本人や仲間にも失礼だよ。

他のメンバーには順当に遠藤航、堂安律、久保建英らを選んだ。この26人の顔ぶれを見て、みんなも意見があるだろう。でも実際に選ぶのは、森保監督だからね。選手が活躍しなければ、手のひら返しで監督も批判を受ける。その覚悟を持って闘う森保監督を、僕は応援しているよ。(日刊スポーツ評論家)

◆鈴木優磨と日本代表 森保監督が就任した18年、公式戦17得点14アシストの活躍が認められ、同11月のキリンチャレンジ杯(ベネズエラ戦、キルギス戦)で初めて代表に選出された。だが直前に所属先の鹿島のACL(現ACLE)決勝で右足首を負傷して代表を辞退。その後は欧州、Jリーグで活躍も選出はない。昨季までマークしたJ1通算73得点は湘南などで活躍した石原直樹の71得点を抜き、国際Aマッチ出場ゼロの選手の中で歴代最多となった。

【イラスト】セルジオ越後氏選出のW杯日本代表
【イラスト】セルジオ越後氏選出のW杯日本代表
【イラスト】セルジオ越後氏が選ばなかった主な選手
【イラスト】セルジオ越後氏が選ばなかった主な選手
東京DF長友佑都(2026年5月撮影)
東京DF長友佑都(2026年5月撮影)