NGT48を今春、卒業する北原里英(26)が1日、東京・秋葉原でのAKB48劇場での最後の公演に出演した。

 この日がAKB48としての公演デビューから、ちょうど10年の節目。同期でHKT48に移籍した指原莉乃(25)、先輩ながら地方出身メンバーの「地方組」として仲良しのAKB48大家志津香(26)らと、笑いあり、涙ありのステージで、デビューの地に別れを告げた。

 15年までAKB48の一員として活動した時代は、いわば名バイブレーヤー的存在だった。選抜からも外れることが多くなり、卒業もちらつき始めたころ、新たに結成されるNGT48への移籍を打診された。

 「1からのプロジェクトに参加することは、人生でもなかなかない。23歳だし、AKBとしても8年目だけど、新しいことができることをお見せしたかったので、決断しました」

 覚悟を持って新潟の地へ足を踏み入れ、約2年半がたった。キャプテンとして、グループを軌道に乗せる大役を立派に務め、この春からは晴れて女優として次の1歩を踏み出す。

 2月には、鬼才・白石和弥監督がメガホンをとったサスペンス映画「サニー/32」が公開された。北原にとっては、重荷になりかねない主演だったが、「この映画の存在は、アイドルを続けるためのモチベーションになりました」と言い切る。

 自分の脇を固めたのは、リリー・フランキーやピエール瀧、門脇麦といった、今の映画界を支える芸達者たちだった。特に、1歳下の門脇の体当たり演技には刺激を受けた。門脇が自らの体を痛めつける場面は、吹き替えなしで演じており、北原は「本番は痛くないんだ。これが本当のプロなんだ」と感動すら覚えたという。

 アイドルの世界には、中心に立って輝く者もいる。中心で輝く者の引き立て役に回る者もいる。北原のアイドル人生は多くの場合、後者だった。女優として名刺代わりの主演作を手に入れた今、心境の変化はあるのだろうか?

 「主演をやらせていただいて、あらためて周りの方の大切さを学びました。真ん中の人って、支えられているんだなって。真ん中もやりがいもあるし、責任感も生まれて、いい経験もさせてもらいました。今度は自分が脇で支えられる人になりたいと思いました」

 やはり、根っからの脇役気質は変わらないようだ。活動の場を別の「劇場」に移す北原が、どんな役者たちを輝かせるか、期待したい。