くせ者同士だ。

15歳の時、青春映画「ルーカスの初恋メモリー」でいきなり個性を光らせたウィノナ・ライダー(47)は、その後幅広い役柄に挑戦。ゴールデングローブ賞やアカデミー賞ノミネートの常連となった。半面、情緒の安定を欠き、30歳の時にはビバリーヒルズのデパートで万引騒動を起こしている。

一方のキアヌ・リーブス(54)は「マトリックス」(00年)を始めとする多くのヒット作で知られるが、交通事故後の薬物検査で陽性反応が出たり、ホームレスのような路上の行動が目撃されたりと、その手の話題には事欠かない。

ひねくれ者同士が反発し合いながら、いつの間にか恋に落ちるこの作品には、まさにピタリの組み合わせかもしれない。

「おとなの恋は、まわり道」(7日公開)の舞台はリゾート・ウエディングだ。脚本も兼ねるヴィクター・レヴィン監督は「知人のリゾート・ウエディングをありがた迷惑に感じた時にこの作品を思い付いた」という。「延々と続くフライト、果てしない催し物…この押しつけ感にコメディーの要素があると思い、ドラマのアイデアがどんどん湧いてきた」と振り返る。

映画の花婿は、ライダーふんするリンジーの元カレであり、リーブス演じるフランクにとっては仲の悪い異父弟である。ともにお義理で結婚式に出席することになった2人が空港で初対面。独身中高年はそれぞれ「自分のやり方」を確立しており、ともに不本意な出席で機嫌が悪い。

リンジーの毒舌とフランクの偏屈は当然のようにぶつかり合う。が、飛行機の席はなぜか隣同士、迎えの車にも同乗、おまけにホテルの部屋は隣同士だった。

100人規模のパーティーを描きながら、実はセリフがあるのは当の2人だけだ。そのやりとりだけで巧みにストーリーが組み上げられ、背景や他の来客との人間関係が浮かび上がる。二人の高校生のゆるい会話だけで笑わせた「セトウツミ」(16年、池松壯亮、菅田将暉共演=大森立嗣監督)をハイピッチにしたようなイメージだ。

リンジーは放っておけば、ずっと元カレの悪口を言い続ける。たちが悪い。フランクは消耗品の枠を微妙に超えてホテルの備品を持ち帰ろうとする。かなりセコい。

それぞれにちょっと情けない中高年だが、2人が演じると不思議に魅力的だ。ポンポンと戦わせる言葉のバトルも、内容はまったくかみ合わないが、いつの間にかテンポがピタリと合ってくる。

2人は時間の経過とともにひかれ合って行くのだが、その境目は分かりにくい。年配カップルのリアルなのかもしれない。セックスをしている時もしゃべり続け、こんなラブシーンは初めて見た。笑えた。でも、歳が行けば照れも入ってそんな風かも、と思わせる。

「ドラキュラ」(92年)から始まって4度目の共演。息は合っている。きっとそうなるだろう、と展開は読めるが、その過程に新味があり、「おとなの恋」に説得力がある。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)