歌謡界で「第7世代」と呼ばれる若手歌手が台頭しています。ニッカンスポーツ・コムでは「われら第7世代!~演歌・歌謡曲のニューパワー~」と題し、音楽担当・笹森文彦記者が若手歌手を紹介しています。今回は、このほど都内で行われた「我ら演歌第7世代!スペシャルコンサート」のリポートをお届けします。

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「我ら演歌第7世代!スペシャルコンサート」は11月27日、東京・大手町の日経ホールで行われた。出演は青山新(21)辰巳ゆうと(23)新浜レオン(25)二見颯一(23)彩青(りゅうせい=19)の5人(50音順)。新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が解除され、会場にはそれぞれのファンを中心に満員の600人が訪れた。

第7世代のスペシャルコンサートの出演者(左から)青山新、新浜レオン、辰巳ゆうと、二見颯一、彩青
第7世代のスペシャルコンサートの出演者(左から)青山新、新浜レオン、辰巳ゆうと、二見颯一、彩青

出演者5人中4人が、連載「われら第7世代!~演歌・歌謡曲のニューパワー~」に既に登場している。ちなみに「第7世代」の呼称は、お笑い界が発祥で、若手芸人の人気ぶりを示すキーワードとして、話題となった。歌謡界でも令和の新時代をけん引する若手歌手の集合体として用いられるようになった。戦後の演歌界を、デビュー年などから区分すると、現在の若手歌手が「第7世代」に当たるのだ。

「第7世代」も当然ライバル同士ではあるのだが、仲間意識は強く、一緒に歌謡界を盛り上げ、過去の名曲を若い世代にも伝えたいという共通の目標を持つ。若者らしくYouTubeやSNSも駆使し、演歌や歌謡曲の魅力などを発信している。

そんな5人が集まったスペシャルコンサートは、坂本九さんの名曲「明日があるさ」を全員で歌唱してスタートした。続いてデビュー曲コーナーでは、辰巳が「下町純情」、二見が「哀愁峠」、新浜が「離さない 離さない」、彩青が「銀次郎 旅がらす」、青山が「仕方ないのさ」をそれぞれ披露した。

ステージで熱唱する新浜レオン
ステージで熱唱する新浜レオン

名曲を伝えるコーナーでは、それぞれが美空ひばりさんの曲に挑戦した。新浜が「愛燦燦」、彩青が「リンゴ追分」、青山が「柔」、二見が「みだれ髪」、辰巳が「お祭りマンボ」を歌った。コーナー最後には「川の流れのように」を全員で歌った。会場のファンはマスク着用で一緒に歌うことはできなかったが、聞きいる様子が印象的だった。

ファンを楽しませた辰巳ゆうと
ファンを楽しませた辰巳ゆうと

さらに名曲の披露は続いた。「青春時代」「男はつらいよ(口上入り)」「また逢う日まで」「最後の恋」「無法松の一生」をそれぞれが歌った。そして、それぞれの新曲から、青山が「霧雨の夜は更ける」、彩青が「津軽三味線ひとり旅」、新浜が「さよならを決めたのなら」、二見が「夢情の酒」、辰巳が「誘われてエデン」を歌い上げた。エンディングは全員で、吉幾三の「酒よ」と中森明菜の「DESIRE」というジャンルにこだわらない選曲でファンを楽しませ、大盛況のまま終演した。

熱唱した二見颯一
熱唱した二見颯一

開演前には集まった報道陣を相手に取材も行われ、それぞれ抱負や今の思いを語った。

かつての日活映画の主題歌路線を歌う青山は「演歌を同世代の人にも聴いてほしいので、みんなでやることに意味があります」と話した。氷川きよしの弟分で“演歌界の王子様”と呼ばれる辰巳は「貴重なチャンスをいただいたので気合十分です」と意気込んだ。大手音楽事務所「ビーイング」の演歌歌手第1号の新浜は「演歌歌謡曲の良さを引き継ぐだけでなく、発展させたいです」と宣言。やまびこボイスの異名で演歌と民謡の融合を目指す二見は「第7世代は5人以外にもいるので、みんなで個性をアピールできれば」と話した。細川たかしの弟子で尺八と三味線を演奏する“三刀流”の彩青は「この第7世代で世界まで発信していけるよう頑張ります」と元気に語った。

名曲も歌った青山新
名曲も歌った青山新

それぞれが、自分の今年1年を漢字1文字で表現した。青山は「光」、辰巳は「絆」、新浜は「勝」、二見は「鍛」、彩青は「忍」を選んだ。コロナ禍で味わった気持ちを表現した。5人を代表して辰巳が「演歌は魅力的で深さがあり、人によっていろんな捉え方があります。年上が聴くというイメージがありますが、聴いていただくと、魅力が伝わると思います。幅広い世代に聴いてほしい」と願った。

「第7世代」には、まだまだ多くの若手歌手がいる。今回のようなコラボレーション企画は、顔ぶれを変えながら定期的に開催してほしい。若い力を結集し、演歌・歌謡界を大いに盛り上げて欲しい。【笹森文彦】

三味線演奏も披露した彩青
三味線演奏も披露した彩青

◆歌謡界の第7世代 もともとは若手芸人が18年ごろに提起した、主に10年以降にデビューした芸人の総称。これを機に第1世代(コント55号、ザ・ドリフターズら)から第7世代までの世代区分が生まれた。この発想を戦後歌謡界に当てはめたのが演歌・歌謡曲版。デビュー年や初ヒット年を参考に、第1世代が「春日八郎、三橋美智也、三波春夫、村田英雄」ら。第2世代が「美空ひばり、島倉千代子、橋幸夫、北島三郎、舟木一夫」ら。第3世代が「森進一、千昌夫、五木ひろし、都はるみ、水前寺清子、大月みやこ、八代亜紀」ら。第4世代が「石川さゆり、小林幸子、川中美幸、坂本冬美、伍代夏子、香西かおり、藤あや子、細川たかし、吉幾三」ら。第5世代「水森かおり、氷川きよし、北山たけし」ら。第6世代が「山内恵介、三山ひろし、福田こうへい、市川由紀乃、丘みどり」ら。