戦後間もない1948年に東京・池袋で創立された「舞台芸術学院」が26年3月に閉校します。先日、同学院が発表しました。「舞芸(ぶげい)」という通称で親しまれ、これまでに約1万5000人の俳優や演出家らを輩出し、日本の演劇の発展に貢献してきました。卒業生には市村正親、役所広司、渡辺えり、濱田めぐみ、大倉孝二、平岩紙、柿澤勇人など、一線で活躍する人たちの名前が並びます。
市村は高校卒業後、舞芸に入学しました。その時の同期生は52人でしたが、3年後に卒業した時は12人に減っていたそうです。それだけ授業が厳しかったようですが、市村は無遅刻無欠席の皆勤賞で卒業。ドラマ「水戸黄門」の黄門役で知られる西村晃の付き人を経て、劇団四季に入団。ミュージカル俳優として開花しました。
山形で生まれ育った渡辺は、高校卒業前に「芝居をやるために上京する」と両親に話すと、「演劇なんかで食えない」と猛反対されたそうです。結局、舞台芸術学院に進学するということで東京行きが許されました。アルバイトをしながらのかつかつの生活の中で、週1回しか銭湯にいけず、おしゃれができなくとも、つらいとは思わなかったそうです。プロになるという夢が舞芸での厳しい生活を支えました。
今回、舞芸が閉校を決めた背景には、少子化とともにコロナ禍で演劇を目指す若者たちが減ってきたことがあるようです。ピーク時は200人を超えた学生も、現在は1、2年生合わせて30人と激減しています。これは舞芸に限らず、劇団付属の俳優養成所の志願者も落ち込んでおり、新規募集を止めたところも多いようです。演劇を目指す人たちの減少は、演劇界にとってちょっと心配な現象です。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)





