2016年から昨年まで芸能活動を休止していた成宮寛貴(43)が舞台に帰ってきた。

8日に新宿の紀伊國屋サザンシアターで幕を開けた三島由紀夫の最高戯曲と言われる舞台「サド侯爵夫人」(2月1日まで)。登場人物は6人の女性で、成宮をはじめ、東出昌大、加藤雅也、三浦涼介、大鶴佐助、首藤康之が女性の役を演じている。成宮が扮(ふん)しているのは、数々の罪を犯して投獄されたサド侯爵の妻ルネ。ほかの女性たちからサド侯爵の陰惨な悪行を聞かされても、夫への愛を語り、擁護し続ける。

成宮といえば、亡き演出家蜷川幸雄さんの秘蔵っ子ともいえる存在だった。19歳の時に「ハムレット」でラストに登場する王子フォーティンブラスに抜てきされた。バイクに乗って登場し、生き残った人々を射殺するパンクな役だった。「お気に召すまま」では公爵の娘ロザリンドを演じた。ロザリンドに恋している、小栗旬演じるオーランドーとともに男装し別の男性に成りすまして恋を語り合う場面は面白かった。その後も「KITCHENキッチン」「太陽2068」と蜷川作品に出演し、蜷川さんが亡くなった時には「父のような存在でした」とコメントしていた。

今回の舞台は「太陽2068」以来、実に12年ぶりだった。難しい作品だけれど、成宮ルネの独白によどみはなく、白い衣装姿はルネの心の清澄さを象徴して美しかった。12年という長いブランクを感じさせない演技で、舞台俳優・成宮寛貴の復活を強く印象付けた。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)