京都南座の鬼滅の刃のコラボ展のオープニングセレモニーで舞台に展示される炭治郎らとともに記念撮影する尾上松也(撮影・松浦隆司)
京都南座の鬼滅の刃のコラボ展のオープニングセレモニーで舞台に展示される炭治郎らとともに記念撮影する尾上松也(撮影・松浦隆司)

日本最古の歴史をもつ劇場「京都南座」で、人気アニメ「鬼滅の刃」と歌舞伎がコラボレーションする異色の展覧会が6日から始まりました。

社会現象化する中でのイベント開催は、まさに「あうんの呼吸」ですが、実は企画担当者が約1年前から粘り強く、企画を進めてきた結果、大ブームとタイミングが偶然、ピタリと重なったそうです。

コラボ展「鬼滅の刃×京都南座歌舞伎ノ舘」(23日まで)には当日券を求めて、多くの人が来館しています。主人公の少年、竈門(かまど)炭治郎や禰豆子(ねずこ)ら主要キャラクターが、鬼やクモの化け物を退治する歌舞伎の演目「源頼光と四天王」の登場人物の衣装を身に着けた描き下ろしイラストが舞台やロビーに展示されています。

コラボ企画を監修した松竹の事業開発本部長でもある細田光人副社長は「アニメなどとのコラボを企画する部署が約1年前から企画し、集英社さんなどと『鬼滅の刃と、いろいろな形で形でコラボさせいただきたい』と話を進めてきました」。当時は、これほど社会現象化はしていませんでした。

企画は進み、ゴールデンウイークに東京・銀座「歌舞伎座」にあるギャラリーで「鬼滅の刃×歌舞伎座芝居茶屋」のコラボ展を開催予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止になりました。

コラボ展はお蔵入りの可能性もありましたが「せっかく温めてきた企画なので、ぜひ実現させたいと担当者が粘り強く、やりつづけた」と細田氏。

担当者の粘り腰は、幸運をもたらしました。歌舞伎座のコラボ展示は劇場全体を使ったものではなく、ギャラリーだけの展示でした。コロナ禍で企画を練り直す時間ができ、「劇場全体を使ってやるとどうなるだろう」の企画案も出ました。アイデアはどんどん膨らみ、集英社などの協力を得て、京都南座の劇場全体を使ったコラボ展が実現しました。

来場者は舞台に上がり、パネルを見たり、炭治郎らと写真撮影ができます。さらに舞台ではアニメでも登場するクモの糸を舞台装飾で再現するなど、鬼滅の刃の世界観を体感できます。

ファンの熱量を体感した細田氏は「ものすごい反響です。前売りチケットもかなりの枚数が出ている。ここまでの反響は予想していませんでした」。その爆発力に驚いています。古都京都に「あうんの呼吸」で、期間限定の「聖地」が誕生しました。

【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)