大阪で理髪店に行き、何げなく雑誌をめくる。うまそうな店が載っていて「ここ行きたい」と気持ちが上がる。ところが住所を見ると銀座。思わず「おい銀座かい」と突っ込みたくなる。関西で暮らす人間なら、1度は経験がある“あの残念”です。
お笑い芸人の小籔千豊がこのほど、大阪市内で行った「KOYABU SONIC 2026」(9月21~23日、インテックス大阪)の発表会見で口にしたのは、まさにその感情でした。
「コヤソニ」は08年に誕生した関西の恒例フェス。コロナ禍などで中断を挟みつつも、「音楽と笑いの融合」を掲げて続いてきた長寿イベントで、今年で14回目を迎えます。
大阪を舞台に「大阪を元気に」を掲げる一方、運営側では経費面などから東京開催案も浮上していたといいます。回を重ねるごとに規模は大きくなり、出演者の多くは東京在住。宿泊費や交通費、スタッフの手配などを考えれば、東京で開催した方が負担は軽い。小籔も「東京でやった方がご足労かけへんし、経費的にも安くなるんじゃないかと思って、東京で会場を探したり、見積もりも出した」と、迷った時期があったことを明かしました。
大阪と同時に東京でも開催する案も出た。しかし最終的に大阪開催に踏みとどまった理由を、小籔は“関西人の残念”に重ねて語りました。
雑誌のグルメ記事を見て「ここ行きたい」と思ったら、最後に住所が東京。雑誌に向かって「おい銀座かい」と言いたくなる。関西の人間は、そういう「東京かい…」を山ほど味わってきました。
「東京を敵に回したいわけではない」と前置きした上で、小籔は「大阪の人が感じる“東京かい…”というショックをやわらげたい」と語り、「このフェスあんねん。大阪やん、と思ってもらいたい」と、大阪開催へのこだわりを言葉にしました。
効率を理由に東京へ移すのは正論でも、「昔の自分を裏切るような気がする」とも吐露。大阪で積み上げてきた“筋”が揺らぐといいます。
大阪開催は負担もあります。東京で仕事がある芸人が朝に大阪入りしてネタを披露し、とんぼ返りで局入りすることもある。それでも来場者が大阪だけでなく近畿各府県、さらに他地域へ広がることで「大阪でやり続けた意味がある」と話しました。「大阪やん」と思ってもらえる限り、コヤソニは大阪で続きます。「おい銀座かい」とは言わせまへん。【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)




