来年3月に退団する宝塚歌劇団月組トップ鳳月杏のプレサヨナラ公演「NINE」(27日まで、東京・東急シアターオーブ)が千秋楽を目前に控えている。鳳月のさらなる進化を見せた公演となった。

フェデリコ・フェリーニ監督の自伝的作品「8 1/2(はっかにぶんのいち)」をもとにし、国内外で上演されてきた作品。映画監督のグイード・コンティーニは、夫婦関係の修復と新作のアイデアを求めてイタリア・ベネチアを訪れるが、関わりのある女性たちが次々と現れ、現実と幻想の間を行ったり来たりする。状況がめまぐるしく変わり、せりふも膨大だ。

開幕前、鳳月は「こんなにセリフを覚えられない! と、グイードの気持ちが分かるくらい多忙な日々でしたが、乗り越えられたのは、宝塚人生でこんなに演じまくれることはないんじゃないか、今だから打ち込めたというところはあります」と話した。

プレサヨナラ公演への感慨を聞かれ「『NINE』と役に必死だったので、あまり考えられなかった」と答えるほど、チャレンジングな作品だった。

女性たちの間をふらふらと浮遊し、委ねるグイードは、一途で包容力のある“宝塚らしい”男性像とはまるで違うが、鳳月は「新しい男役の魅力」と語り、「愛を模索し、満たされない何かを探していると思うと、寄り添えるところがある」と普遍性を見いだした。

今作を終えると、兵庫・宝塚大劇場で12月12日開幕のサヨナラ公演「天穹のアルテミス」「Belle Époque(ベル エポック)」が控える。来年3月28日の東京宝塚劇場千秋楽で退く。【小林千穂】

月組公演「NINE」に出演するトップスターの鳳月杏(撮影・滝沢徹郎)
月組公演「NINE」に出演するトップスターの鳳月杏(撮影・滝沢徹郎)
月組公演「NINE」に出演するトップスターの鳳月杏(撮影・滝沢徹郎)
月組公演「NINE」に出演するトップスターの鳳月杏(撮影・滝沢徹郎)
月組公演「NINE」のフィナーレでパフォーマンスをするトップスターの鳳月杏(撮影・滝沢徹郎)
月組公演「NINE」のフィナーレでパフォーマンスをするトップスターの鳳月杏(撮影・滝沢徹郎)