暴露系YouTuber。数々の俳優やアーティスト、アイドルたちを巻き込んで芸能界を席巻中である。そこで、今回は芸能人というか、俳優の性質について考えてみる。よく、監督として仲良い俳優はいますか?と聞かれることがあるが、正直あまりいない。どちらかというと苦手な人種である(笑い)。数年前までは、一緒に作品を作る仲間として飲みに行ったり、イベントをしたりと協力関係にあったが、彼ら彼女らの行動を見ているとそもそも根本的に性格や考え方が違うではないかと思うようになってきた。

学生時代を思い出してみてほしい。俳優の彼らはおそらく学校の人気者、休み時間にクラスメートを集めて前夜のテレビの話などをして盛り上がっている。それに対して我々(裏方)は、深夜のラジオをネタに、少数の同性たちとクラスの端でひっそりと話している。今となっては演出する立場として、指示する側に“一応”はいるが、当時を振り返ると教室の反対側にいたことが顕著にわかる。かなり偏見がある気もするが(笑い)、まずはそこを理解いただきたい。

少し脱線し、社会人1年目。楽しい学生時代が終わり、当たり前のように社会に出る。そこで、ほとんどの人が経験するであろう社会人1年目は本当にきつく、学歴や能力問わず大人の洗礼的なものを必ず受ける。その後、何十年も生きていかなければならない「社会のルール」をたたきこまれるといったところだろうか。

その点、俳優たちが受けるそれは芸能のことではあっても、一般常識ではないケースが多い。スポーツの世界と似ていて実力がモノをいい、若くして売れれば勘違いすることも多々あるだろう。これまで飲みの場などで会う俳優の中には明らかに横着な態度をするものも確かにいた。普通の社会だと淘汰(とうた)されてしまいそうだが、まわりが甘やかすのだろう。特にちやほやされ、さまざまな誘惑の多い芸能界。真偽のほどはわからないが、暴露されるような話に発展してもおかしくないと少なからず思ってしまう。

話が大きくそれたが、今回紹介するのは誰もが認める国民的俳優の小栗旬(39)。現在放送中のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の主演であり、その活躍ぶりは説明不要。さらに、特筆すべきは自身も所属し、人気俳優を多く抱えるトライストーンの取締役を務めているところである。過去には映画監督も務め、日本の俳優のユニオン(組合)を作りたいと発言。数多くの若手俳優にも支持されている。

若い頃から活躍しているが、人気ドラマ「GTO」ではいじめられっ子を演じるなど、人気先行だけの俳優ではない。そして「鎌倉殿の13人」では主演ながら、大泉洋演じる源頼朝の右腕として、一癖も二癖もある武将たちの間を奔走する。その姿は、今後彼が芸能界において、経営する側(社会)と俳優の良き懸け橋になるであろうとも想起させる。仕事柄、品行方正とまでは求めないが、SNSが発展する中、才能のある俳優たちがくだらない流布に巻き込まれないような動きにも期待したい。

◆谷健二(たに・けんじ)1976年(昭51)、京都府出身。大学でデザインを専攻後、映画の世界を夢見て上京。多数の自主映画に携わる。その後、広告代理店に勤め、約9年間自動車会社のウェブマーケティングを担当。14年に映画「リュウセイ」の監督を機にフリーとなる。映画以外にもCMやドラマ、舞台演出に映画本の出版など多岐にわたって活動中。また、カレー好きが高じて青山でカレー&バーも経営。2月17日からは東京・渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホールで演出舞台「政見放送」が上演された。

(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画監督・谷健二の俳優研究所」)