ドラマ「ハヤブサ消防団」が面白い。原作は「半沢直樹」はじめ「下町ロケット」「陸王」と日曜劇場で立て続けにヒットドラマを作った池井戸潤。これまで社会派の作品が多かった中、今回はミステリー。物語は、中村倫也演じるミステリ作家・三馬太郎が田舎町・ハヤブサ地区に移り住むことから始まる。連続放火にさらには殺人事件も起き、タイトルにもなっている消防団のメンバーたちと力を合わせて解決していく。
消防団のメンバーには、生瀬勝久、橋本じゅん、梶原善、岡部たかし、満島真之介と昨今のドラマには欠かせない名バイプレーヤーたちが名を連ねる。対照的に、本家日曜劇場(「VIVANT」)では池井戸作品の主演俳優たちがアベンジャーズのごとく出演、さらに企画・演出を福澤克雄が務める。オリジナルで挑む日曜劇場のキャスト&スタッフと、池井戸潤原作のミステリー、なんとも面白い図式である。
さてそこで今回紹介したいのは、「ハヤブサ消防団」に出演している川口春奈。ハヤブサ地区に住む映像ディレクター・立木彩を演じる。移住組ということで同じく移住組の三馬とも仲良くなるが、過去に秘密がある難しい役どころ。凜(りん)とした佇まいだが、どこかミステリアスな雰囲気も兼ね備えていてとても魅力的にみえる。また消防団の男だらけのところにまさに紅一点、物語に癒やしを与えてくれる存在でもある。
改めて川口春奈、大手事務所・研音の中でも特に大事に育てられ順調なキャリアを重ねてきたが、満を持して初主演したゴールデンタイムのドラマが低視聴率でまさかの打ち切り。低視聴率女優のレッテルを貼られ、そこから下降気味となる。そこで転機となったのが大河ドラマ「麒麟がくる」の帰蝶(濃姫)役。沢尻エリカがスキャンダルにより降板したことによりまわってきたチャンスであった。
急な大役で不安視された中、堂々とした演技で世間を見返し、再びメインストリームに返り咲く。恒例のサッカーで例えれば、先日リヴァプールで、味方が一人退場した後、途中出場から2得点上げたヌニェスを思い出させた。その後、ドラマ「silent」でブレイクし、今となってはCM女王の座に。そんな苦労をした川口だからこそ、ミステリアスな役もしっかりと演じ切れるのかもしれない。
物語は終盤、まだまだ真相が見えないが、彼女がキーなのは確か。これからの彼女の活躍ととともにドラマの展開にも期待したい。
◆谷健二(たに・けんじ)1976年(昭51)、京都府出身。大学でデザインを専攻後、映画の世界を夢見て上京。多数の自主映画に携わる。その後、広告代理店に勤め、約9年間自動車会社のウェブマーケティングを担当。14年に映画「リュウセイ」の監督を機にフリーとなる。映画以外にもCMやドラマ、舞台演出に映画本の出版など多岐にわたって活動中。また、カレー好きが高じて南青山でカレー&バーも経営している。今後は映画『その恋、自販機で買えますか?』『映画 政見放送』が待機中。
(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画監督・谷健二の俳優研究所」)





