松方弘樹さんの弟で俳優の目黒祐樹(69)が23日、都内の自宅前で取材に応じた。俳優としても尊敬していた兄の死を「まだ実感が湧かない。自分の心に正直な人だった」と悼んだ。

 目黒は葬儀を終えて帰宅後、取材に応じた。「2日前の午前11時26分に旅立ちました。長い芸能生活において、皆さまにはお世話になりました。ありがとうございました」と一礼した。

 みとることはできなかったが、約2時間半後に病院に着いた。「まだぬくもりが残っていて『オイッ』って目を開きそうだった。やせていたけど、安らかでいい表情をしていました。まだ実感がなくて徐々に寂しさが湧いてくるのかな」。

 昨年2月の入院以降、見舞いに数回訪れた。「何万人に1人というくらいの難しい病気。放射線や投薬治療をしていて手術は難しかった。本人にはそこまで深刻とは伝わっていなかったかも。でも常に前向きな人なので、仕事に復帰したいという気持ちは強く持っていた」。最後に会ったのは昨年12月10日。自分の言葉に「おお」「そうか」と反応していた。それ以降は、少し元気になったり、会える状態の時に連絡が来るはずだったが、かなわなかった。

 兄として俳優として「背中が見えないくらい常に僕のはるか前を行っていた」と尊敬していた。「思い浮かぶのは底抜けの笑顔。自分の心に正直な人だったので、周りに迷惑をお掛けしたこともあったけど、多くの人が憎めない人と言ってくれていた。弟としては、うれしくもあり、ちょっと悔しくもあり、かなわないと思いました」。

 父の近衛十四郎さんが63歳で亡くなっており、兄弟で父の生きた年齢を超えた際「2人で長生きしよう」と話し合っていた。「まだ逝くのは早いじゃないかと思う。変な話ですけど『向こうでも元気でな!』という気持ちです」と語る目は真っ赤だった。