アニメ映画「この世界の片隅に」(片渕須直監督)が、16年11月12日の公開から14週目で、興収20億円、動員は150万人を突破した。配給の東京テアトルが13日、発表した。11、12日で興行収入(興収)約6200万円、動員は約4万人を記録し、興収20億円超えを達成した。

 また、片渕須直監督と主人公すずの声を演じた能年玲奈から改名したのん(23)が、22日に行われるメキシコでのプレミア上映に参加することが決定。現地では、観客との意見交換も行う予定だという。メキシコでは3月3日から公開されるが、スペイン語字幕版と吹き替え版の2パターンでの上映が決まっており、のんの声がメキシコでも響き渡ることになりそうだ。

 海外での配給は、世界23の国と地域で決定した。タイは23日、アルゼンチンやチリなど南米諸国は3月17日、香港は3月30日、英国は6月、米国とフランスは9月から公開。またドイツ、オーストリアなどで開催中の「AKIBA PASS FESTIVAL」で10都市で上映されているが、ドイツでは7月に公開が決まった。

 「この世界の片隅に」は、広島県呉市を舞台に、戦時下の不安定な時代の中、18歳で嫁いだ絵が得意な女性すずが、大切なものを失ってもけなげに、まっすぐ生きる姿を描いた感動の物語。製作費を出資する企業を集めるための、パイロットフィルム制作を目的に、クラウドファンディングで一般から出資を募り、約3900万円を集めたインディーズ作品で、初週の公開館数も63館だった。

 それが作品の評判、感動が口コミで全国に広がり、公開館数は初週から226館増の289館まで増えた。全国映画週末ランキング(興行通信社調べ)では8位で、14週連続トップ10入りを果たした。【村上幸将】