女優の十朱幸代(74)が芸能生活60周年を迎えた。

 先日、一人芝居「キャサリン・ヘプバーン-夢の請負人」(7月1日~東京・博品館)の制作発表に姿を見せ、その若々しさに改めて驚かされた。

 会見がテレビ局で行われたこともあり、北朝鮮ウォッチャーとして知られる解説者の男性が近くのスタジオから「見学」に訪れるなど、中高年の根強い人気を印象付けた。

 さすがに、帯ドラマの草分けとなったNHKの「バス通り裏」(58年~)の記憶はないが、主演女優賞となった日刊スポーツ映画大賞の第2回(89年)授賞式でのあでやかな姿は鮮明に覚えている。第1回受賞者の吉永小百合(72)から花束を受け取った2ショットは、華を競うとはまさにこのこと、とくぎ付けになった。

 そんな往年の魅力を漂わせながら「最近は舞台に上がる度にこれが最後になるかもしれないという思いがあります」とドキッとさせることも言った。

 今回の舞台はアカデミー賞4回の伝説の名女優の私生活に迫る作品。「15歳から女優をやっていて、その頃はすごく忙しくてどれが自分でどれが役か分からなくなることがありました。でも、だんだんとその違い、ギャップの大きさを自覚するようになりました。キャサリン・ヘプバーンと私ではピンとキリかもしれないけれど、感覚的に良く分かる作品です」と語る。

 演出の鵜山仁氏(64)は「キャサリン・ヘプバーンの私生活を演じるというより、十朱さんご自身をさらけ出すような舞台になると思います」という。

 若々しく見える外見からはうかがい知れない女優人生のさまざまな思いが垣間見える舞台になりそうだ。