音楽プロデューサー小室哲哉(59)が19日、都内で会見を開き、引退を表明した。不倫疑惑報道が引退を決意させる引き金になったが、09年の5億円詐欺事件の判決後、10年に復帰してから、悩み続けてきた7年間があったことが浮き彫りになった。会見中の言葉から引退の真相を探る。

◆KEIKOの存在

 自分の音楽を最も理解するKEIKOが、11年10月にくも膜下出血で倒れた。現在、身体的な後遺症はないというが、脳などの一部に障害が残り、音楽への興味がなくなってしまっている。「初期に無理やりスタジオに連れて行って、その時の心境を歌詞にしたためて、何とか歌ってもらった曲が1曲あるが、それ以降は『いいよね』と(拒絶された)。それから歌うことがなくなりました」。公私にわたる最愛のパートナーの変化が、小室を動揺させたことは間違いない。

 KEIKOは実家のある大分に滞在する時間が長くなり、夫婦としての会話のやりとりも徐々に難しくなっている。「諦めてはいけないというのが、精神的なサポートということなんだと重々承知の上だったんですが、ちょっと疲れ始めてしまったことは、3年くらい前からありました」。最愛の妻が、2人を結びつけた「音楽」を忘れたショックに介護の心労も重なった。小室自身も「大変つらい時期だった」といい、音楽制作への意欲を失っていった。