芥川賞作家でお笑い芸人のピース又吉直樹(37)が5日、東京・荒川区立図書館「ゆいの森あらかわ」で「小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙」ベスト10発表会にアンバサダーとして出席した。昨年70周年を迎えたポプラ社が、同11月から今年2月まで実施して、全国で12万人の小学生が投票した。

 関係者200人で埋め尽くされた会場に現れた又吉は「“こどもの本”っていうから、子供で会場が埋め尽くされているのかと思っていたら、少子高齢化を象徴する感じ」と笑いを誘った。1位は動物学者の今泉忠明氏(74)が監修した「おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典」で、4位になった続編などシリーズ累計で160万部を売り上げいる。又吉は「『サイの角はただのイボ』とか、面白かった。残念なようだが、それは個性なんだと。残念な人間もいるけど、それはユニークな個性だと思えることを教えてくれる」。今泉氏は「多分、残念でも頑張って生きていることがよかったんだろう。あと、子供はお尻やうんちがすきなので『ウォンバットのうんちは四角い』とかがよかったのかな」と笑った。

 又吉は「僕も本好きで、子供の頃は授業中に関係ない本を読んでいて、先生に『怒りにくい』と言われました」。表彰を担当した子供プレゼンターには「僕も人前で話をするの苦手なんですけど、自分が思っているよりも大きな声でしゃべると緊張感がなくなると、先輩から聞いた事があります」とアドバイスを送った。

 本について「文学作品を読むようになったのは中学生になってからだけど、保育所の頃から読み聞かせてもらっていた。劇中の人物に話しかけてみて物語に入っていけるのと、笑えるのはどんな本でも重要」。中学生の時に読んだ本を再読するのも好きで「当時、赤線を引いて読んだ本を、また読んで青線を引いてみる。全然、違うところに引いたりして、本には無駄がない」と話した。

 8位に入った「ぼくらの七日間戦争」は、1700万部を超えるシリーズの第1作で、88年には宮沢りえ主演で映画化されている。又吉は「僕らが子供の時代に図書室にあった。時代が変わっても、思うことはいろいろあるんだなと感じた」。著者の宗田理氏(89)は「30数年前に書いた本が、いまだによまれているのは、子どもたちのやりたいことは変わらないということだと思う。親子三代で読んでくれている方もいる。いつの時代になっても、読まれる物は読まれる」と話し、来年アニメ化されることを発表した。