作家の乙武洋匡氏(42)が、アメリカンフットボールの悪質タックル問題を受け、強い権力を持つ指導者が選手を服従させるような、いわゆる体育会系的な体質について「今回のような悲劇を再び招かないためにも、まずはこうした文化を変えていくこと必要ではないだろうか」と問題提起した。

 乙武氏は25日、元陸上選手の為末大氏が「今糾弾されているのはスポーツ界の中にある体育会文化であって、スポーツ自体ではない。社会はスポーツ界自らがこの悪しき文化を断ち切ることを望んでいる。そうでなければ、スポーツ自体が悪とされていく可能性が高い」とツイートしたのを受け、自身もツイッターで「『体育』との決別。『スポーツ』への移行」と反応した。

 乙武氏は「『体育の日』『国民体育大会』など、日本は『スポーツ』を安易に『体育』と置き換えてしまったけれど、そもそも兵士養成のために体を鍛えることを前提とした体育と、余暇や娯楽といった言葉を語源に持つスポーツはまったくの別物。前者は強制されることが多いのに対して、後者は自発的に楽しむもの。自発的に楽しむスポーツではあくまで選手が主役となり、指導者はそれをサポートする役回りだが、体育において主導権を握るのはあくまで指導者であり、選手はその指示に従うことが原則とされる」と、体育とスポーツの違いについて説明。その上で、「日本の学生スポーツや部活動は『スポーツ』を名乗っていても、じつは『体育』の域を出ていないことも多い」と指摘した。

 今回の悪質タックル騒動で会見を行った日大選手は、反則行為について監督やコーチからの指示があったと明言。また、そうした指示を拒否したり、監督やコーチに意見することはできない関係だったことも明かしている。乙武氏はこの一連の問題に「日大アメフト部の反則タックルはあまりに悪質で例を見ないものだが、その根っこにある『指導者が強権を振りかざして選手たちを支配する』という構図自体はそこまで特殊なケースでもないように思う」と私見を述べ、「今回のような悲劇を再び招かないためにも、まずはこうした文化を変えていくこと必要ではないだろうか」と訴えた。