女優山口紗弥加(38)主演のフジテレビ系連続ドラマ「絶対正義」(土曜午後11時40分)の初回が2日に放送される。

山口が演じるのは“最恐主婦”のヒロイン、正義のモンスター・高規範子。ひとつの間違いも犯さず、一切の過ちも許さず、法律のみを唯一の価値基準として生きる。その正義が周囲の人々を翻弄(ほんろう)し、運命を狂わせていく恐怖を描く心理サスペンス。

山口は「最初は範子という役に、全く共感できませんでした。範子の正義が、正論すぎて恐ろしい。客観視しちゃうと共感できないままなので『範子が正しいんだ。私は範子だ』と思いこんで撮影に臨んでいます」と話している。

初回は、高校時代の話から始まる。高校卒業間近の1月、高規範子(白石聖)は転校してきた。由美子(桜田ひより)はバスで痴漢されたのを範子に助けられて以来、彼女を慕って仲間に入れる。しかし、由美子たちは気づいていなかったのだ。地味で礼儀正しい普通の子だと思われた範子の、本当の素顔に。

範子は温情で学生の喫煙を見逃した体育教師・矢沢(水橋研二)と警察官を懲戒解雇に追い込み、廃屋で寒さをしのいでいたホームレスを排除するなど、その行動は次第にエスカレートする。“正義のヒロイン”と範子を頼りにしていた由美子たちだったが、一方でその行き過ぎた正義感に違和感を感じ始めていた。

範子は「私、何か間違ったこと言ってる?」と幾度となく繰り出す。正しいがゆえに反論できない、でも受け入れがたい。由美子たちに真綿で首を絞められるように、ヒタヒタ、ジワジワと、戦慄(せんりつ)と恐怖が彼女たちに忍び寄る。頼りにしていたはずの正義に苦しみもだえる少女たち。「正義」が「絶対正義」に変わった時、親友は地上でもっとも恐ろしい人間になった。

卒業から15年。由美子(美村里江)たちは、範子(山口紗弥加)と再会した。由美子は、夫がリストラで無職になったため、アルバイトを掛け持ちしながら子育てに追われる日々を送っている。理穂・ウィリアムズ(片瀬那奈)は、外国人の夫とインターナショナルスクールを経営、裕福な暮らしながら子宝に恵まれないことを悩んでいる。今村和樹(桜井ユキ)は、大手の出版社を退職したばかりで、ノンフィクション作家として成功したいという野心に燃えていた。そして、石森麗香(田中みな実)は子役から女優になり、今は妻子ある男性と不倫関係にあった。

範子と再会したことによって、それぞれの日常がほころび始める。そのほころびは、静かに、やがて大きな音を立てて絶望的な破綻へと突き進んでいく。