札幌ススキノから全国区を目指し活動している歌手SHIHOMI(24=札幌市出身)。昨年10月発売のデビューアルバム「Earth&I」は、ロックバンドDEENの池森秀一がプロデュースし、納められたR&Bやポップス、ソウルなど7曲には自身の経験を詰め込んだ。「歌い始めたころからCDを出したかった。その思いをすべて入れた」。渾身(こんしん)のデビュー作に仕上がった。

現在もバンド活動をする両親の影響で、幼少期から音楽に囲まれる生活を送った。14歳にはすでに歌手になる夢を抱き、札幌市内の音楽教室で週1回のレッスン。学校の放課後には1人でもカラオケに行き、技術を磨いた。「趣味は音楽だけ」という少女は、小さなライブハウスからゴスペルのライブまでジャンルを問わず足を運び、大きな舞台を目指した。

道のりは長かった。最初はデビューを目指し、大手音楽事務所などのオーディションを受け続けた。伸びやかな歌声と安定したリズム感で1次審査は通過できる。20社以上を受けても、次の審査には進めなかった。「このままススキノで歌っているだけでも良かった」。歌える場所があれば、ステージはどこでも良かった。

転機は昨年2月。新人プロデュースなどの構想を練っていたDEEN池森にデモテープを送った。「声にほれた」と池森からオファーが届き、デビューアルバム製作が決まった。初めて作詞にも挑戦した。「Earth Song」は環境問題がテーマで、自身がハワイの美しい海を訪れた経験を、約2カ月間かけて歌詞に落とし込んだ。

今年は3月の沖縄ライブを皮切りに、道外でも歌を届ける。「札幌を拠点に歌い続けたい気持ちは変わらないけど、日本中に1人でも多くのファンに自分のことを知ってもらいたい」。地元で歌い続けることで、自分の道を切り開いていく。【浅水友輝】

◆SHIHOMI(しほみ=本名非公表)1994年(平6)12月14日、札幌市出身。ダイヤモンドレコード所属。両親の影響で音楽を始め、札幌大通高卒業後に札幌・ススキノを拠点に歌手活動を開始。作曲のためピアノ、ドラム、ギターを練習中。現在は札幌のライブバーなどでライブを行いながら、来札ミュージシャンのライブでコーラスなども行う。影響を受けた歌手は山下達郎やグウェン・ガスリー。