サザンオールスターズ桑田佳祐(62)が映画「男はつらいよ お帰り 寅さん」(山田洋次監督、12月27日公開)の主題歌を歌い、同作にも出演することが20日、分かった。

桑田が映画に出演するのは17年公開の「茅ヶ崎物語~MY LITTLE HOMETOWN~」に続いて2度目。映画「男はつらいよ」シリーズで主題歌を渥美清さん以外が歌うのは、97年公開「同 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇」の八代亜紀以来2人目となる。

桑田の主題歌の歌唱と出演は、山田監督からのラブコールで実現した。テレビ番組で「男はつらいよ」を歌う桑田の映像を見た山田監督が、自ら手紙を送った。「新しい寅さんの幕開けをあの素晴らしい桑田さんの『男はつらいよ』で始められないか。出来れば出演もしていただき、花を添えてもらえないだろうか」。

もともと寅さんや山田監督のファンだった桑田は、かつて自身のテレビレギュラー番組に「音楽寅さん」のタイトルをつけ、「男はつらいよ」をライブで歌った経緯がある。また、映像作品「THE ROOTS~偉大なる歌謡曲に感謝~」でも披露してきた。山田監督の気持ちを受け取った桑田は、即座に承諾した。

「私も渥美清さん演じる『寅さん』をどこかファンの1人として、まねをしながら生きて来たような気が致します」とし、「今回、この夢のようなお話を頂き、本当にありがとうございました。そして天国におられる渥美清さんには、心より深く感謝申し上げます」とコメントした。

2人が初めて会ったのは昨年12月。山田監督が桑田のライブに足を運んだことで実現した。桑田は「わざわざお越しいただき、4時間超えのステージを最後までお立ちになったままご覧いただいた山田監督。憧れの人にお会い出来た瞬間、私は全身から力が抜けてしまったことを忘れません」と振り返る。

「ひとりの俳優が演じた最も長い映画シリーズ」としてギネス記録にも認定される国民的映画「男はつらいよ」シリーズ。69年の初公開から今年50周年を迎え、22年ぶり50作品目となる節目に桑田が花を添えることとなった。山田監督は「『音楽寅さん』はまさに『映画寅さん』でもあった。渥美さんもきっと喜んでくれると思います」と粋なコメントを寄せた。

◆男はつらいよ 渥美清さん主演、山田洋次監督による映画シリーズ。渥美さん演じる主人公「フーテンの寅」こと車寅次郎が、故郷葛飾柴又に帰って来て巻き起こす人情喜劇。旅先で出会うマドンナとの失恋や身を引く恋模様も描かれる。マドンナには浅丘ルリ子、十朱幸代、竹下景子、後藤久美子ら名女優が名を連ねている。これまで特別編を含む49作が公開されている。

◆「男はつらいよ お帰り 寅さん」 車寅次郎(渥美清)のおい満男(吉岡秀隆)と満男がかつて思いを寄せていたイズミ(後藤久美子)のその後の物語。別々の人生を生きてきた2人を軸に、さくら(倍賞千恵子)や博(前田吟)、そしてくるまやを囲む人たちの今を描いている。