俳優の柳楽優弥(29)が、映画「HOKUSAI」(橋本一監督、来年初夏公開予定)で、江戸時代の絵師・葛飾北斎を演じることが6日、分かった。来年生誕260周年を迎える北斎の、知られざる生涯を描く作品。世界的舞踏家で俳優の田中泯(74)とダブル主演する。

同作は「富嶽三十六景」など生涯を通して3万点以上の作品を残したとされるが、残っている資料が少なく、これまでしっかりと描かれたことのなかった北斎を構想約3年、数少ない史実をもとに独自の視点と解釈によって描く新たな物語。才能は認められながらも、売れない絵師として筆をとり続けた青年期の北斎を柳楽が、芸術家としての情熱を失うことなく孤独に自らの画才を磨き続けた老年期を田中が演じる。

青年期の北斎を見いだした蔦屋重三郎を阿部寛(55)、老年期の北斎とパートナーを組む戯作(げさく)者・柳亭種彦を瑛太(36)、青年期の北斎がライバル意識を向ける美人画の大家・喜多川歌麿を玉木宏(39)がそれぞれ演じ、豪華俳優陣が脇を固める。同作は今後、「HOKUSAI2020プロジェクト」として、海外の映画祭への参加や海外配給を視野に入れた全世界同時プロモーションを展開していくという。

柳楽は「世界的スターである北斎さえも、売れない時期や苦しい時代があったということを知れてうれしかったですし、夢を感じました。世界中にいる北斎の熱狂的なファンの方たちにもぜひ見ていただきたいです」とコメントしている。

◆葛飾北斎 平均寿命が40歳前後といわれた時代に、91歳まで旺盛な創作活動をした江戸時代の画家。20年春に刷新されるパスポートや、24年度から使用される1000円札のデザインに採用されるなど今なお評価され続けている。また、西洋ではレオナルド・ダビンチと並び称される。モネ、ゴッホら多くの芸術家に与えた影響も大きく、米ライフ誌の「この1000年で偉大な業績を残した100人」に日本人で唯一選ばれるなど海外でも人気だ。