東京・歌舞伎座で7日、「八月納涼歌舞伎」(9~27日)の舞台稽古が行われ、中村扇雀(58)坂東弥十郎(63)松本幸四郎(46)市川猿之助(43)中村七之助(36)市川中車(53)が取材に応じた。

納涼歌舞伎は90年に、故中村勘三郎さん、故坂東三津五郎さんが中心になって始めた。それまで歌舞伎座では、8月は歌舞伎を上演していなかったが、初めて見る観客や若い世代にも分かりやすい歌舞伎を目指して、興行が始まった。

七之助は「亡き三津五郎のおじさまと父親が立ち上げ、いろんな方との思い出が詰まった納涼歌舞伎です。令和初の納涼歌舞伎ということでうれしく思います」と話した。第1部「伽羅(めいぼく)先代萩」では、おいの中村勘太郎(8)長三郎(6)との共演。七之助は「父がいたらどう思うだろうと思って、ぐっときました」。

勘三郎さん、三津五郎さんとともに納涼歌舞伎を作ってきた扇雀は「若い子がどんどん育ってきた。私も負けないようにしたい」、弥十郎も「毎年(出演を)楽しみにしているうちに、一番年上になってしまった。まだまだしがみついて勉強していきたい」と、意欲を見せた。

第2部「東海道中膝栗毛」は、幸四郎、猿之助が弥次喜多コンビを演じる人気シリーズで、4年目の今年で最後となる。猿之助は「最後の弥次喜多をやり遂げたい」、幸四郎は「最後らしくお祭り騒ぎになればいい」と話した。

第3部「新版 雪之丞変化」で5役を演じる中車は「大変です。限界を超えている」と、充実の表情を見せた。