20年度後期の次々期NHK連続テレビ小説「おちょやん」(来年秋スタート)が30日午前、制作のNHK大阪放送局で発表され、モデルは夫の故2代目渋谷天外を支え、松竹新喜劇をおこした浪花千栄子で、ヒロインは女優杉咲花(22)に決まった。

大正から昭和にかけ「道頓堀五座」をはじめ、多くの芝居小屋でにぎわった大阪の中心部・道頓堀が舞台。東京出身の杉咲は「本当にうれしい。こんなに感動する瞬間はあるのか…というぐらい、今、かみしめています」と笑った。ヒロインの竹井千代を演じる。

8月にヒロイン決定を知らされ、当時を「普通、仕事はチーフマネジャーさんから聞かされるんですけど、そのときは、もっと先輩の方がいらして…」と振り返った。「最初は何のことが理解できなくて、パニックになり、ちょっと泣いちゃいました」とも。

大阪弁には「イントネーションの勉強を(音源を)聞きながら、しているところです。想像以上に難しいです」と苦笑。覚えたばかりだが「おはようさん」という大阪弁イントネーションが好きだとも話した。

ヒロインのモデルは、夫だった2代目天外を支え「松竹家庭劇」から「松竹新喜劇」をおこし、隆盛の礎を築いた浪花千栄子。後に「大阪のお母さん」として親しまれ、森繁久弥さんの映画「夫婦善哉」にも出演した上方を代表する往年の名女優として知られる。

自伝も残しており、その中に「他の人がやりたがらないような役を率先してやるようにしていた。自分にとっても経験になる」と、座長の妻としての心得を書き残している。杉咲はこの言葉に「すごくすてきな考えの方だと思った」と魅了されたとも語った。

朝ドラは16年前期「とと姉ちゃん」にヒロインの妹役として出演。「(当時ヒロインの)高畑充希さんは毎回、セリフをきっちり覚えていらして、どんなに疲れがたまっていても、細かく役のことを考えていた」と言い、ヒロインの心得も胸に刻んでいる。

来春の次期朝ドラから週5日放送になるが、タイトな収録スケジュールに変わりはない。今作は、来年4月から収録開始の予定。11月上旬から方言指導も受け、約10カ月の長丁場収録になる。杉咲は「体力にはわりと自信がある方なので。ご飯を食べたら元気が出る方。(大阪では)たこ焼きが食べたいです」と自信を見せていた。

◆杉咲花(すぎさき・はな)1997年(平9)10月2日、東京都生まれ。11年にオーディションで芸能界入り。同年7月、味の素「Cook Do」CMスタート。11年に日本テレビ系「妖怪人間ベム」、16年にNHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」に出演。18年TBS系「花のち晴れ~花男 Next Season」で主演。今年はテレビ朝日系「ハケン占い師アタル」で主演。現在放送中のNHK大河ドラマ「いだてん」にも出演中。特技の書道は準6段。血液型B。