第70回ベルリン国際映画祭で28日、諏訪敦彦監督の「風の電話」が、若者向け作品を対象にしたジェネレーション14プラス部門で、国際審査員による準グランプリにあたる国際審査員特別賞を受賞した。

同作は岩手・大槌町在住のガーデンデザイナー佐々木格(いたる)氏が、死別したいとこともう1度話したいという思いから自宅の庭に設置した「風の電話」をモチーフにしている。東日本大震災以降、「天国につながる電話」として広まり、多くの人が訪れている。

授賞式には脚本を担当した狗飼恭子氏が登壇。諏訪監督の「この日本のささやかな祈りを受け止めてくださった審査員の皆さんに感謝します」「ベルリンの地での初めての上映後、鳴り止まぬ拍手と励ましの声で、まるで家族のようにこの映画があたたかく迎えられた瞬間を私は忘れることができません」とのコメントを代読した。

広島から故郷の大槌町へ旅する女子高生ハルを演じた女優モトーラ世理奈(21)も「ベルリン映画祭のプレミア上映で、観客の皆さんが、風の電話に流れている風を、しっかりと感じてくれたんだと実感してとても感動しました。私が演じた、ハルにこれからも世界中の人々の、心の中で旅をし続けてほしいと願っています」と喜びのコメントを寄せた。

同作は現在公開中。