NHK「これでわかった! 世界のいま」(総合で日曜午後6時5分)番組公式ツイッターは9日、米ミネソタ州ミネアポリスで5月25日に黒人男性ジョージ・フロイドさんが白人警察官に殺害されたことを受け、全米で広がる人種差別の撲滅を訴える抗議活動に関する報道をした際、放送で使用したアニメーションについて、人権への配慮が足りなかったとして掲載を取りやめたと文書で発表し、謝罪した。

アニメーションは、6月7日の放送の中で流されたもので、大柄で筋骨隆々とした黒人男性を中心に、怒った顔をした多数の黒人の男女が白人男性を糾弾する様子が描かれた。黒人男性は、白人男性を指さして糾弾するようなポーズを取っており「黒人と白人 貧富の格差」などのテロップも付いていた。

9日午後2時9分にツイッターに添付する形で発表した文書では「『これでわかった!世界のいま』のツイッターに掲載したCGアニメーションにつきまして、多くのご批判・ご意見をいただいております。掲載したアニメーションは、6月7日放送の『拡大する抗議デモ アメリカでいま何が』の中で放映したものです。番組では、デモの発端が、黒人男性が警察官に押さえつけられて死亡した事件であることを紹介したうえで、今回の事件に様々な人たちが怒りを募らせている背景やトランプ政権の対応とそれに対する批判、アメリカ社会の分断の現状などを26分間にわたってお伝えしました」と企画の趣旨について説明した。

さらにアニメーションについても「CGアニメーションは、番組の中で、アメリカの黒人の人たちが置かれている厳しい状況をわかりやすくお伝えしようと、格差のデータや指標とともに約1分20秒間にまとめたものです」と説明した。その上で「しかし、視聴者からこのアニメーションについて、問題の実態を正確に表していないなどというご批判をいただき、掲載を取りやめました。掲載にあたっての配慮が欠け、不快な思いをされた方にお詫びいたします。NHKでは、人権を尊重し、取材や制作のあらゆる過程で細心の注意を払うよう取り組んでまいります」(原文のまま)とした。

番組のツイッターでの発表に先立つ9日午後1時53分には、ジョセフ・ヤング駐日米国臨時代理大使が、自身のツイッターで、英語と日本語の両方でNHKのアニメーションに対して遺憾の意を示した。

「米国の複雑な人種問題に焦点をあてようとするNHKの意図は理解していますが、この動画ではもっと多くの考察と注意が払われるべきでした。使われたアニメは侮辱的で無神経です。」(原文のまま)

ツイッター上では、日本人のツイッターユーザーがヤング臨時代理大使へ謝罪する旨のツイートが相次いだ。