北村匠海(22)が31日、東京国際フォーラムで行われた第33回東京国際映画祭オープニングセレモニーに、オープニング作品「アンダードッグ」(11月27日公開)の出演者として登壇した。

北村は前日30日に単独初主演映画「とんかつDJアゲ太郎」(二宮健監督)が封切られたばかり。同日、東京国際フォーラム近くの丸の内ピカデリーで行われた初日舞台あいさつでは、29日に共演の伊藤健太郎(23)が自動車運転処罰法違反(過失傷害)と道路交通法違反(ひき逃げ)の疑いで逮捕されたことに思いをはせ「正直、この映画をフラットに見てくれる人がどれだけいるのか、不安な気持ちもあった」、「(自分は)かわいそうなヤツではないし、とても幸せ者」などと涙声で訴えた。

一夜明けたこの日は、黒のスーツで登壇。表情も引き締まり、気持ちを切り替えていた様子で「数年ぶりに映画祭に呼んで頂き、光栄に思っています。オープニング作品に選ばれたのも光栄に思います」と、冷静な口ぶりであいさつした。

「アンダードッグ」は、15年の同映画祭で日本映画スプラッシュ作品賞を受賞した「百円の恋」の武正晴監督と、自身も映画監督である脚本家の足立紳氏のタッグでボクシングをテーマに作り上げた前後編にわたる新作映画。“かませ犬”としてリングに上がり、ボクシングにしがみつく日々をおくる崖っぷちボクサー末永晃(森山未來)、児童養護施設で晃と出会いボクシングに目覚めたものの、過去に起こした事件で期待された将来に暗い影を落とした若き天才ボクサー大村龍太(北村)、夢も笑いも半人前な二世タレントで芸人ボクサーの宮木瞬(勝地涼)が再起のリングに立つ姿を描いた。

北村は「まず、自分は格闘技を人生でやったことがなく、ただ見るのが好き。端的にボクシングという話を聞いた時、武監督(と共演は)森山未来さんに勝地涼さん。ぜひやりたいと思った。リングに上がる機会、逃すまいと食らい付いていった」とキャスティングされた当時を振り返った。

撮影は1、2月に行われた。体作りについて聞かれた北村は「体作りも1年前から初めて、筋トレにいきがちですけど、ボクシングで落とそうと家でもシャドーボクシングをしていた」と語った。ボクシングの試合も見ており「リアルな試合を見ていましたね。若くして天才で、踊るような選手もいる。見て、インスピレーションを得ながら作っていった。実際のボクサーの方の食生活と体の追い込み方とやっていった。僕たちはギリギリでやった」と振り返った。

撮影には“ボクシングの聖地”東京・水道橋の後楽園ホールが使われている。コロナ禍の自粛前で、多数のエキストラが集まったという。北村は「こういうことになるとは思わなかったけれど、ものすごいエキストラが集まって、歓声を受けて1対1で戦う感覚を生で味わった。とても貴重な経験をさせて頂いた」と振り返った。