TBS2年目の齋藤慎太郎アナウンサー(23)をリモートで取材した。

中高時代に横浜F・マリノスの下部組織でプレーし、大学まで16年間サッカーに打ち込んだ本格派。ドイツ1部ウニオン・ベルリン遠藤渓太(23)は高校時代のチームメートだ。

高校時代、周囲のレベルの高さから挫折を経験した。早々とプロサッカー選手の夢を諦めたという。「サッカーをやめたくてしょうがなかったです」。

アナウンサーを志したのは、大学3年の時。「就職活動が大変で、『どうしましょう』って先輩に相談したら、『俺の友達がアナウンサー受けたからお前も受けてみたら』っていってもらったのがきっかけです」。

大きな挫折を経験したサッカー。「やるのは今でもあんまり好きじゃない」と苦笑いで明かすが、「でも観るのは好き。観る魅力を伝えられるのはテレビの実況かなって思いました」と目を輝かせる。

サッカーロシアW杯の年に実施された入社試験では、W杯に関連する論文試験が出題されたという。「チャンスだなって思いました」と振り返ったが、同局がスポーツ報道を重視している証拠だろう。「サッカー実況をしたい」の一点張りで合格を勝ち取った。

先月26日には、同局が放送したU24日本代表戦で、地上波放送前に現地から1人でYouTube生配信した。中継車やカメラの台数の説明、実況席、ピッチサイドからのリポートと、自身の経験も交えて伝えた。

入社1年目の終わりに、早くも代表戦に携わった。「今まで自分の人生で肯定できることってあんまりないんですけど、サッカーに見切りをつけてこの道に行けたのはよかったのかな。こういう風に違う形であれ、サッカーに関わることができたので」と胸を張った。

続けて自分をこう評した。「あんまりサッカーがうまくなくてよかった。それでもサッカーをちゃんとまじめにやってきたのがよかった」。

現在は「あさチャン!」「ひるおび!」「報道特集」「Nスタ」などでスポーツコーナーやニュース、天気コーナーを担当する日々だ。「今はいろいろありますので、与えられた目の前の仕事を一生懸命やるだけです」と言い切るが、「実況は何年後になるかは、わかりませんけど、やってみたいというのはあります」と力を込めた。

好きな選手は元ブラジル代表のダビド・ルイス。DFながらキックがうまく、FKも任されるほど攻撃的な選手だ。齋藤アナも、同ポジションで、前線にパスを出すのが好きなタイプだったという。まずは目の前の仕事に集中しつつ、“TBSのダビド・ルイス”としてアグレッシブな姿勢で夢を追い続ける。【佐藤成】