SDGs。ここ数年、よく耳にするようになってきた言葉です。

SDGsとは持続可能な開発目標。Sustainable Development Goalsの略です。15年9月の国連サミットで、加盟国の全会一致で採択されました。30年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標で、17のゴールと169のターゲットから構成されています。貧困をなくそう、飢餓をゼロに、などといった人類として基本的なものから、人や国の不平等をなくそう、ジェンダー平等を実現しようといった、私たちが真摯(しんし)に取り組まねばならない項目が並んでいます。

国だけではなく、各企業にとっても、このSDGsに取り組む事例が増えてきました。それは、芸能界でも同じです。

先日、総合商社の伊藤忠商事が、東京・青山にある同社の敷地内に、SDGsに関する取り組みの発信拠点として「ITOCHU SDGs STUDIO」を開設しました。そのオープニングセレモニーが行われ、モデル冨永愛(38)が出席したため、経済部の記者に混じり、私たち芸能記者も取材に出向きました。

冨永は同スタジオのエバンジェリスト(解説、啓発をはかる人)に任命され「モデルとしてもファッション業界の人間としてもSDGsに貢献したいし、広く伝えられるように貢献したい」とあいさつしました。

同スタジオは、SDGsへの取り組みを発信するための基地で、SDGsに関わる活動をする団体などにスペースを提供するほか、エシカルコンビニ(環境や社会に配慮しているコンビニ)なども併設しています。

会見の司会を務めたのは元NHKアナウンサーでジャーナリストの堀潤氏。冨永とのトークでは、伊藤忠商事がアパレルなどにも強いことから、ファッション業界におもんぱかったのでしょう。「ファッション業界もSDGsに取り組んでいると思いますが」と、冨永に話を振りました。

でも、その冨永の回答が痛快でした。何を言っているんですかといった表情で、ファッション業界は世界の中で2番目に環境に負荷をかけている産業であることを指摘。そして「みんながそのことに気付きだしたのはこの2、3年のこと。作り手側もサステナブルに転換するために努力している。消費者側もその認識を変えるのに時間がかかるので、モデルとして取り組んでいきたい」と話しました。

例えば、コットンと聞くと、環境に優しい素材のようなイメージがありますが、栽培には大量の水を使用するのです。Tシャツ1枚あたり2700リットルの水が必要とされ、栽培がさかんな地域には、安全な飲み水にアクセスできない人が数多くいるのです。つまり、コットンの大量消費は人びとの飲み水を奪っているとも言えるのです。

えてして、芸能人は政治的背景がからむものごとに対して、自由な発言が難しいのが現状です。それだけに、冨永には今後も発信を期待したいと思います。