漫画家・諫山創氏原作の漫画「進撃の巨人」単行本の最終34巻が9日に発売されることを記念して、講談社「週刊少年マガジン」編集部は同日付の朝日新聞(全国朝刊)に、諫山氏が描き下ろした漫画を全面広告(15段広告)として掲載した。

内容は「進撃の巨人」最終34巻の内容を告知するもので、主人公のエレン・イェーガーが異世界に転生し、最初はなめられるも、巨人化能力を発揮して巨人になり、異世界の住民を驚かせるという内容。単行本を読んだことがある読者には“ピンッ”とくる演出で、単行本の巻末で諫山氏が続けてきた、予告漫画の集大成とも言える内容。「“本当の”ラストは、その目で」と、最終巻を予告する文言も真に迫る。同編集部は「最終巻が今回の広告通りの展開になるかどうか、朝日新聞の広告と最終巻を見比べていただけたら嬉しいです」(原文のまま)とコメントした。

「進撃の巨人」は「別冊少年マガジン」で2009年(平21)9月から連載がスタートし、4月9日発売の5月号で完結し全139話、約11年7カ月の歴史に幕を下ろした。世界21の国と地域で出版され、電子書籍も約180の国と地域で配信。電子書籍を含む単行本の累計発行部数が全国で1億部以上と大ヒットした。

9日に発売された「進撃の巨人」34巻は、通常版のほか2種類の特装版「Beginning(ビギニング)」と「Ending(エンディング)」を刊行。特装版には小冊子がつき、「Beginning」には連載前の幻のネーム2話分が収録される。「別冊少年マガジン」創刊号への連載をかけた「連載会議」に提出されたネームで、諫山氏が連載獲得後に自ら構想などを練り直しため、連載版とは違う部分が多々あるが最終巻を記念して収録が決まった。「Ending」には、138話と最終話のネームが収録される。諫山氏によって原稿化されたが、実際に世に出たものとは多少違う部分もあるといい、打ち合わせや作画用の同氏のメモも収録。「Beginning」とともに電子書籍版の刊行も予定している。

6月9日には、オンライン上でキャラクターの半生を振り返ったり、厳選されたシーンをセレクトした展示などを公開する、オンライン展覧会(入場無料)が開催。また「別冊少年マガジン」で8カ月連続で連載されているフルカラー版「進撃の巨人」を収録した単行本「進撃の巨人Full color edition」全4巻も、同日から3カ月間に1冊ずつ発売の予定。

さらにキャラクターブックの完全版「進撃の巨人キャラクター名鑑FINAL」も6月9日に発売。5月9日発売の「別冊少年マガジン」6月号に一部が掲載された、諫山氏に3時間に及ぶインタビューを敢行した全文が収録される予定。そして同日発売の「別冊少年マガジン」7月号には、諫山氏と漫画家・荒川弘氏との対談が掲載される。

「進撃の巨人」では、講談社が発行、発売した超大型版コミックス「巨人用 進撃の巨人」が「出版された最大の漫画本」(“Largest comic book published”)としてギネス世界記録に認定されたことも話題となった。「巨人用 進撃の巨人」は、エレンが巨人化能力を発揮し、巨人になった際に読むサイズを想定して制作され、通常の新書サイズコミックスと比べ約36倍の面積となる縦1メートル、横70センチ、重さは13・7キロもある。

「進撃の巨人」単行本第1巻を再現し、第1話と第2話を収録し全96ページ。現在、製造途中でサイズが変更になる可能性はあるが、収納箱約3キロ、輸送用の箱約4キロと本体を合わせた総重量は21キロに及ぶ予定。ギネス記録「出版された最大の漫画本」は、2007年(平19)に米国、18年にはブラジルで達成されたが、その際、100冊販売されたため、100冊が売れた場合にはギネス世界記録として認定されることとなった。そのことも話題となり、販売価格は16万5000円(税込み)と高額も、3月6日に販売を開始すると約2分で完売した。

また7日から東京・新宿区のJR新宿駅東西自由通路の大型LEDビジョンで「進撃の巨人」スペシャルムービー「感激の巨人」の放映が始まっている。