俳優奥野壮(20)主演のNHK特撮ドラマ「超速パラヒーロー ガンディーン」(土曜午後6時5分、全3回)が、今日26日スタートする。パラスポーツと本格特撮が合体した、例のないドラマ。新しいヒーローに挑戦した奥野が、日刊スポーツの取材に応じた。

車いす陸上に熱中する高校生・森宮大志(奥野)は、ある日突然“スーパー・パワー”を授かり、車いすで戦うヒーロー「ガンディーン」に変身。斬新な物語の主演はオーディションでつかみ取った。奥野は「全く新しいものが作られるんだろうなと期待感でワクワクしました。ぜひ僕にやらせてくださいと臨みました」。テレビ朝日系「仮面ライダージオウ」でも主人公を演じた特撮経験者だが、未知のパラスポーツが題材でもあり「真っさらな気持ちで、1度目と同じような感覚でした」と振り返る。

準備にも時間をかけた。撮影1カ月前から自宅に乗用車いすを持ち込んで生活。「冷蔵庫の上にポンと置いたものが、車いすの状態だと手が届かない」と実践で得た気づきがあった。トイレでは乗り換えにも苦労したという。

体作りの面では、屈強なパラ陸上選手に近づけるよう上半身を集中的に鍛え、体重を6キロ増やした。レース用車いすで選手同様の練習をし「僕はレーンを1周するだけでゼーハーしていたのに、アスリートの方は全くへでもなく。1日20キロ走ると聞いて、はあ? みたいな(笑い)。底知れない体力と精神力に感銘を受けました」。

車いすのため派手なアクションは少ないが、車体から転げるシーンなどは「仮面ライダーの経験が生きた」という。「今までやってきたことには自信があったので、それは生かせたと思う」と手応えを語る。

演じ手としては、見えない敵や変身シーンを想像しながら撮影する、特撮ならではの演技に楽しみを感じている。奥野は「ここにこれくらいの怪獣が現れる、と心に作って、想像で感情のエンジンを回す。それが1つの魅力」。作品については「個性的なキャラクターと、特撮、パラスポーツの熱血。たくさんの楽しみ方があるので、いろんな世代の方に楽しんでもらえるドラマになっていると思います」と話している。【遠藤尚子】

◆奥野壮(おくの・そう)2000年(平12)8月21日、大阪府生まれ。17年「第30回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」に出場。フォトジェニック賞などを受賞し、芸能界入り。18年テレビ朝日系「仮面ライダージオウ」に主演。主演映画「灰色の壁~歯車~」が来年公開予定。