歌舞伎座「十月大歌舞伎」(10月2日初日)に出演する尾上松緑(46)が10日、稽古場で取材会を行い、この1年で7回目となる泥棒役への意気込みを語った。

第2部「太刀盗人」で泥棒役を演じる。昨年10月に国立劇場で同役を演じて以来、国立劇場と歌舞伎座で「三人吉三」や石川五右衛門役など泥棒役が続き、今回が7回目の泥棒役となる。「国立さんと(歌舞伎座の)松竹さんは僕のことを泥棒と思っているのかとお尋ねしたい」「英雄役者ではなく、泥棒役者と言われるのは気のいいものじゃない」と笑わせた。

一方で、泥棒役には魅力を感じるという。「歌舞伎の中のアウトロー。僕自身が反体制というわけじゃないんですけど、王道ものよりピカレスクものにひかれるので」。今回演じる「太刀盗人」の“すっぱの九郎兵衛”を含め「僕が演じる泥棒はみんな盗むのがヘタクソ」と笑い、「うまい泥棒をやりたいので、かっこいい泥棒役を振っていただければ」と話した。

舞台では、長男尾上左近(15)とも共演する。「やる気があるようなので、父親として、できる限りのことはしたい」。自身に比べ「彼のほうがすべてにおいてまじめに取り組んでいると思う」と笑顔で話した。

コロナ禍の中、ゲストを招いてのオンライントークイベントも熱心に行っている。取材陣から「コワモテ、オラオラ系と思っているファンの方に、温かい人柄が見える機会になっているのでは」と質問されると「僕自身は感情が激しい人間なので、好きな人には優しくしたいですし、自分を嫌っているであろう人にはこっちも嫌ってやろうと。いい人には良く、嫌な人には嫌に接したいと、常々思っております」と豪快に笑い、「それが画面に出ていると思う」とした。