16年「君の名は。」、19年「天気の子」で知られる新海誠監督(48)が15日、都内で会見を開き、3年ぶりの新作として「すずめの戸締まり」を製作し、22年秋に公開すると発表した。

「すずめの戸締まり」は、日本各地の廃虚を舞台に、災いの元となる“扉”を閉めていく17歳の少女・鈴芽(すずめ)の、解放と成長を描くロードムービーとなる。新海監督は「公開は来年の秋。まだちょっと先なので、お話できないことが多い」と口にした。その上で「少子高齢化が進む、この社会では、始めるより閉じていく方が難しいのでは? 散らかった可能性を、あるべき手段で閉じていくことで、次に進むべき物語を作る方が、お客さまは見たいのではないか?」などと、3つのキーワードを持って、新作「すずめの戸締まり」について語った。

<1>日本列島各地を巡るロードムービー

「日本全国を広く舞台とした冒険物語。各地を回ると、映画を見終わった、お客さんから『次は僕の、私の町を舞台にして下さい』と言われる。全ては描けないと困るんですけど…欲張りして各地の魅力、人々を描いていきます」

<2>散らかった可能性を、あるべき手段で閉じていくことで、次に進むべき物語

「扉を開くのではなく、閉じていく物語。どんなことでもそうですが、始まらせるより終わる方が難しい…映画作りなんか、まさにそう。お仕事、恋愛、生活も…だから、扉なんですね。各地の扉、さまざまな扉が登場します」

<3>映画館に足を運ぶ理由作りになる作品

「昨今、配信が全盛で、僕も寝る前に、これを見よう…と楽しみにしています。ただ、人間が持っている、ある特別な能力を発揮させてくれるのが、映画館。その能力は感情移入、物語に没入する能力。映画館に足を運び、暗闇で見ることが最も能力を発揮できる。そういう物語、音楽、映画作りを目指します」

「すずめの戸締まり」の主人公すずめは、九州の静かな町で暮らす17歳の少女で「扉を探してるんだ」という旅の青年に出会う。彼の後を追う、すずめが山中の廃虚で見つけたのは、まるで、そこだけ崩壊から取り残されたように、ぽつんとたたずむ古ぼけた扉だった。何かに引き寄せられるように、すずめは扉に手を伸ばすが…迷い込んだ、その場所には全ての時間が溶け合ったような空があった。やがて、日本各地で次々と扉が開き始める。その向こう側から災いが訪れてしまうため、開いた扉は閉めなければいけないのだといい、不思議な扉に導かれた、すずめの“戸締まりの度”が始まる物語。

キャラクターデザインは 日本の歴代興行収入ランキング5位の250億3000万円を記録した「君の名は。」と、同141億9000万円で13位の「天気の子」、さらに今年公開の「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の作画監督を務めた、田中将賀氏が担当。作画監督は11年「星を追う子ども」、13年「言の葉の庭」や「君の名は。」と、新海監督作品を多く手掛けてきた土屋堅一氏、美術監督には、新海監督の中期の傑作として知られる07年「秒速5センチメートル」や「君の名は。」参加した丹治匠氏が担当する。

企画開発は20年1月から同3月、脚本は同4月から8月まで執筆。絵コンテは同9月から今月まで開発を続けるのと並行し、アニメーションの作画は今年4月から行われている。