「ドライブ・マイ・カー」(濱口竜介監督)の西島秀俊(50)が、最優優秀主演男優賞を受賞した。第42回に「散り椿」で優秀助演男優賞を受賞しているが、優秀主演男優賞、最優秀主演男優賞の受賞は自身初。西島は「本当に、ありがとうございます。驚いています。濱口竜介監督、キャスト、スタッフの皆さんの力で、いただいた賞」と喜んだ。

西島は、この日、正賞外の新人俳優賞を受賞した三浦透子(25)をはじめ、感情を入れず、セリフが自動的に出てくるくらい俳優の体に染み込ませる、濱口監督の演出法“本読み”をともにした俳優陣にも感謝の言葉を述べた。「岡田将生君、霧島れいかさん、世界中から参加した俳優の皆さんと、本読みを繰り返しました。相手の言葉に耳を澄ますことが、相手がそこにいることに影響するんだと改めて実感した現場。僕がいただきましたけど、みんなで取った賞」と重ねて感謝した。

西島は劇中で、舞台俳優で演出家の家福(かふく)悠介(西島)を演じた。家福は満ち足りた日々を送る中、脚本家の妻音(霧島れいか)が、ある秘密を残したまま突然この世からいなくなってしまう。その2年後、喪失感を抱えたまま生きる家福は、演劇祭の演出で向かった広島で、寡黙な専属ドライバー渡利みさき(三浦透子)と出会い、1度は拒否するも受け入れ、ともに過ごす中で、それまで目を背けていた、あることに気づかされていく。

西島は「今、世界が混乱して、いろいろなつながりが切れている中、東日本大震災から11年がたちました」と、11年前のこの日、発生した東日本大震災と、複雑な世界情勢について言及した。その上で「人とのつながり、魂の再生の物語が今日、賞をいただいたことは何か大きな意味があるのではないか。これからも人に寄り添う、希望を持つような作品に参加したい。日本映画のために身をささげたい」と誓った。

優秀主演男優賞受賞者は、以下の通り。

佐藤健(「護られなかった者たちへ」)

菅田将暉(「花束みたいな恋をした」)

松坂桃李(「孤狼の血 LEVEL2」)

役所広司(「すばらしき世界」)