コンビ結成17年目を迎えたお笑いコンビ、ロッチが6月24、25日に単独ライブ「すってんこロッチ」(東京・北沢タウンホール)を開催する。バラエティー番組などで売れっ子となったが、単独ライブを毎年行っている。このほど、ネタ会議に密着し、「ロッチ流」ネタ作りの極意を探った。
所属する「ワタナベエンターテインメント」の大会議室にロッチの2人、放送作家、マネジャーの4人がそろったのは、5月某日の午後7時30分。中岡創一(44)は「いつもは作家さんがもう少しいます」と教えてくれた。そう言って、ホワイトボードの前に陣取るコカドケンタロウ(43)の目の前に机を運び、座った。
コカドが立ち上がってホワイトボードに、単独ライブで披露するネタのタイトルを列挙した。
単独ライブでは、毎回、全て新ネタを披露する。左右に分けられている9項目のうち、左の5項目はできあがったネタ。右の4項目は未完成のネタだという。
コカドが言った。「左側のでネタ合わせするか、右を作るか」。中岡は「1個作って1個合わせよう」。この案にコカドも納得し、「おばちゃんでごめんねえ」と記された未完成ネタの仕上げ作業を始めた。
未完成ネタは、設定やオチはできているが、細部のやりとりができていないものだという。2人は、ネタのたたき台が記されたタブレットをのぞき込んでいる。コカドが突然、役になってセリフを放つと、中岡も役になりきって返した。どんどんコントが進んでいく。未完成部分に到達すると、急停止し「ここは、○○かな」などとコカドが提案。中岡も「○○とかもええか」と案を出して、ネタの根幹でもある「おばちゃん」像を深掘りしていく。「おばちゃんでいいことってある?」「バンドエイドもっている」「ハンカチもっている」「チラシでゴミ箱作れる」。中岡がスマートフォンでささっと調べて、「おばちゃんならでは」の要素を列挙していく場面もあった。
互いに「それええな」などといいながら、自然な流れで、コカドが次のシーンのセリフを言い始めてコントが再開し、ネタ作りが進んでいく。また未完成の部分に到達すると、「ここは○○か」「○○は?」などと細かい設定を詰めていく。ある場面では、3分以上、2人が無言で考え込む場面や、20歳近く年の離れた作家に意見を求めることもあった。
そのようなやりとりをノンストップで続けていく。午後7時30分すぎに始まった会議は、午後9時15分に、座ったまま通しでネタを読み上げるまでの形になった。ネタ時間などを確認し、「動いたらもう少し時間が延びるか」などと話し合った。午後9時34分、中岡が言った。「ええんちゃう。今日はもう。1個できたってことで」。当初は、1つのネタを作りあげ、1つネタ合わせをする予定だったが、2時間かかったこともあり、この日は解散となった。
お笑いコンビでは、ネタ作り担当者が台本のようなものを作り、それを相方に渡してネタ合わせをしていくのが一般的と言われる。中岡は「いつもこんな感じです。今日は取材入っていたので、少し無駄話が少なめでした(笑い)。いつもはもっと脱線しています」。
ネタ作り担当のコカドも「立ち稽古まではいつもこんな感じですね。最初はネタの設定だけを作る感じで、こうやって作りあげてから立ち稽古で仕上げていく感じです。他のコンビだったらどっちかが台本考えてきて、渡してやるんでしょうけど。珍しいんですかね」。
ネタによって多少、差はあるが、たたき台からネタの完成までは2時間ほどかかることもしばしばあるという。「でも設定ができるまでの方が長いですかね。今回は(けがの影響で)ずっと中岡くんの家でやっていました。今日はいないんですけど、作家さんが4人いて、Dropboxで共有しています。(今日いた作家が)かるーい台本みたいにしてくれています」。6月に入ると、立ち稽古でのネタ合わせが始まるという。
午後9時45分、「駐車場の時間があるので、お先に。おつかれさまー」と言い残してコカドが先に事務所を出た。中岡は、マネジャーと別の仕事の打ち合わせをしており、「お先に帰ってください」と記者を見送ってくれた。2人とも2時間みっちり会議したとは思えないくらいすがすがしく、充実した表情だった。コント作りから楽しむ姿勢が垣間見えた。愚直なまでにコントに取り組み続ける理由がわかった気がした。



