演歌歌手神野美伽(56)が7日、東京・中野サンプラザでコンサート「さあ、歌いましょう!」を開催した。

江利チエミさんが71年に歌唱した「旅立つ朝」などのカバー曲を歌唱する1部と、オリジナル曲を中心に並べた2部構成の計24曲。持ち味のパワフルな歌唱とトークで約2時間半を一気に駆け抜け、約2000人を魅了した。

公演前には取材に応じた。第一声が「(コンサートが)あー、うれしい。ただただうれしいです」。2年前の同所公演がコロナで中止に。そのリベンジの意味合いも「うれしい」の言葉に込めた。

もう1つの思いは歌える喜びだ。腰椎椎間板ヘルニアによる右足急性まひの診断を受けて3月10日に緊急手術。39年目に入るデビュー記念日だった。ギプスは先月末に取れたが現在も治療は続いている。「治療はずっと続くけどしょうがないです。肉体的には(完全復活には)程遠いけど、気分的には吹っ切れている。治療でイケメンの理学療法士に会うのが楽しみです」と冗談交じりに話した。

84年のデビューから、自称「向上心と好奇心の塊」の神野は全速力で走ってきた。99年には日本人初の韓国デビュー。14年には米国に進出し、同地で世界最大級の音楽フェスに参加して日本語で“ENKA”をパフォーマンス。耳の肥えた音楽ファンをうならせた。

だが、約2年のコロナ禍ですべてを1度ストップせざるを得なかった。今年3月の手術前にも、18年には骨が空洞化するリスフラン関節症のため両足を手術し、20年には頸椎化膿(けいついかのう)性脊推炎を患った。もちろん、持ち味の歌唱力は健在だが、両足膝のテーピングは欠かせない。「昔はカリカリしていたけど、今は『ま、いっか』と思える。音楽をすごく楽しんでいます」。

来年は40周年の節目。アルバム制作を視野に入れながら、音楽漬けの日々を楽しむつもりだ。