SixTONES松村北斗(27)が、新海誠監督(49)の新作アニメ映画「すずめの戸締まり」(11月11日公開)で声優に初挑戦したことが5日、分かった。ジャニーズ事務所の所属タレントが、同監督の作品で声優を務めるのは初めて。「新海監督の作品に出演させていただくというのは想像の出来ないことでしたが、出演が決まってプレッシャーと興奮が織り交ざった不思議な気持ちです」と率直な思いを語った。

松村は劇中で“災い”をもたらす扉を閉めることを使命とする「閉じ師」宗像草太を演じる。日本各地に現れる扉を探す旅をし、九州で扉のある廃虚に向かう途中で原菜乃華(19)演じるヒロイン・岩戸鈴芽と出会い突如、扉から現れた災いに立ち向かう青年だ。浮世離れしている存在でありながらも等身大な青年、というイメージを具現化するため、新海監督がオーディションで実力派から有名俳優まで数多くの声を直接聴いたうえで松村を選んだ。

松村は、新海監督の作品を以前から見ていたが、オーディションを受けることが決まってから、改めて、未見のもの含め過去の作品を見たという。「新海監督とはオーディションの際に初めてお会いしましたが、作品から感じる人柄そのままの穏やかな方で、オーディションでもアフレコでも声を褒めてくださったことが、すごくうれしかったです」と新海監督との出会いを振り返った。

新海監督の作品の中で、特に好きで何度も見ているのが16年「君の名は。」で、声優を務めるにあたって教材にしたという。「アフレコは初めての経験なので最初は緊張しましたし、声だけで表情と感情を出さないといけない難しさもあり、いくら練習しても出来ないことも、いっぱいありましたが、監督やスタッフの方々のおかげで変わっていくことが出来ました」とアフレコを振り返った。

演じる草太は「閉じ師」という浮世離れした存在である上、ある出来事をきっかけに、すずめが幼い頃に使っていた脚が1本欠けた子供用の椅子“すずめの椅子”に姿を変えられてしまうという難役だ。役作りについて「僕が演じる宗像草太は、監督の作品では見たことがないキャラクターだったので、僕としても聞いたことのない声色が出せたらいいなと考えて、監督とも、いろいろお話しさせていただきました。『草太は神と人間の融合体みたいなイメージ』と監督がおっしゃっていたので、いつもよりは少し低い声を当てています」と語った。

アフレコは、すずめを演じた原と一緒に行ったという。「草太は、あることによって椅子に姿を変えられてしまうのですが、それによってヒロインの、すずめとのコミカルな掛け合いも多くて、実際にアフレコしていて楽しかったです」と振り返った。

新海監督は「松村北斗くんの声の美しさは、彼の内面の豊かさが源泉だと思います。表現への追求と、絶え間ない内省と、切実な使命感。北斗くんのそういう精神性が、草太というキャラクターにぴったりと重なりました」と絶賛。その上で「彼の声の芝居は鮮烈です。どうか楽しみにしていただけますように」と期待感をあらわにした。

松村にとって、アニメは「小さい頃は、よく見ていてすごく身近なものであり、自分の中で、これは良かったという作品を何年も、ずっと繰り返して見ている」という。その経験を踏まえ「すずめの戸締まり」について「今作は、身近にある現実や日常がベースで、その中にファンタジーとユーモアが織り交ざっている、監督の今までの、細胞の全てが集まった作品だと思います。面白くないわけがないんです」と評した。

その上で「僕自身、この物語に触れて、今まで解釈していたものの幅が広がり、自分の人生や、この世界が、さらに興味深いものになりました」と「すずめの戸締まり」との出会いで、人生や世界の見方が変わり始めていると明かした。そして「映画でしか、アニメでしか描けない作品で、見た方すべてがこの日常の中で奇跡を味わえると思うので、多くの方にこの体験を味わってもらいたいなと思います」とアピールした。

◆松村北斗(まつむら・ほくと)1995年(平7)6月18日、静岡県生まれ。09年2月15日にジャニーズ事務所入り。12年「私立バカレア高校」でドラマ初出演。20年1月にSixTONESとしてCDデビュー。主な出演作は、ドラマはNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」、フジテレビ系「恋なんて、本気でやってどうするの?」など。映画は21年「ライアー×ライアー」「きのう何食べた?」、22年「ホリック xxxHOLiC」など。176センチ。血液型B。

◆「すずめの戸締まり」 九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽(原)は「扉を探してるんだ」という旅の青年に出会う。彼の後を追うすずめが山中の廃虚で見つけたのは、まるで、そこだけが崩壊から取り残されたようにぽつんとたたずむ、古ぼけた扉。なにかに引き寄せられるように、すずめは扉に手を伸ばすが…迷い込んだ、その場所には全ての時間が溶け合ったような空があった。やがて、日本各地で次々と扉が開き始め、その向こう側から災いが訪れてしまうため、開いた扉は閉めなければいけないのだという。不思議な扉に導かれた、すずめの“戸締まりの旅”が始まる。