世界歴代最高の興行収入28億4737万9794ドル(約3559億円)を記録した、ジェームズ・キャメロン監督(68)の2009年(平21)の映画「アバター」の、13年ぶりの新作「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」(12月16日公開)の新作映像プレゼンテーションが4日、都内で開かれた。

キャメロン監督と共に97年の「タイタニック」や「アバター」など多くの超大作をプロデュースした、プロデューサーのジョン・ランドー氏(65)が“日本初お披露目”となる映像を引っさげて緊急来日した。

「アバター」は、人類が22世紀に地球から遠く離れた惑星パンドラで、ナヴィと呼ばれる先住民と人間のDNAを組み合わせた肉体「アバター」を操作員の意識で操ることで、人に有毒な大気の問題をクリアし希少鉱物を採掘する「アバター・プロジェクト」に着手。元海兵隊員ジェイク・サリー(サム・ワーシントン)は車椅子の身だったが「アバター」を得て体の自由を取り戻してパンドラに降り立ち、ナヴィの族長の娘ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)と恋に落ちるが、パンドラの生命を脅かす任務に疑問を抱き、星の運命を決する選択を強いられていく物語。

新作映像プレゼンテーションは、最先端の映像技術「ドルビービジョン」と立体音響技術「ドルビーアトモス」を採用したドルビーシネマで上映し、取材陣を含めた関係者は3Dメガネを着けて鑑賞した。パンドラの世界の海に潜る映像は、あたかも実際にダイビングしたかのようなリアリティーがあり、水生生物との遭遇、接触も生々しい質感で描かれた。映画を見るというより、実際にパンドラの世界を旅している感覚に陥るほどの体験を提供する、現状の最先端を行く映像だった。

ランドー氏は、現在の製作状況について「最終的なポストプロダクション、ビジュアルエフェクトの作業中」と説明。その上で「絶対、大きなスクリーンで見るべき作品だと分かったはず。本当に、この世界に入っていくような経験が出来ると思う。3Dは、世界に入る手段の1つ。もっとパンドラの世界に現実味が出て、この世界に戻りたいと思ったと思う」と強調した。

「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」は、1作目から約10年後の惑星パンドラが舞台の、ジェイクとネイティリの子供たちからなる家族の物語。一家は神聖なる森を追われ海の部族に助けを求めるが、その楽園のような海辺の世界にも人類の侵略の手が迫っていた。ランドー氏は、登場したジェイクの子どもたちが、若い世代の観客に向けたキャラクターであると説明。「ティーンエージャーを登場させるのは、若い人に見て欲しいから。(前作の)『アバター』には、なかった。共感できると思うし、憧れのキャラクターになると思う。若い人たちは自分の姿を感じ、可能性を感じたのではないか?」。

その上で、ランドー氏は、スマートフォンやパソコンでのオンデマンド配信が主流となった若い世代に、映画館で映画を見る体験をして欲しいという願いが、作品に込められていることも強調した。「若い方達に映画館に行く経験がユニークで特別、スマートフォンで映画を見るのとは違うと伝えたい。(映画館で鑑賞するのは)みんなと一緒の経験…会話も弾むでしょう。とても重要」と訴えた。

キャメロン監督も、今回の来日と新作映像プレゼンテーションについて把握していると明かし「ジェームスは私の来日を知って、喜んでいる。彼は80年代から日本に来ている」と語った。質疑応答で、キャメロン監督と他の製作者との違いを聞かれると「まずスクリプト(脚本)を書く。必ず頭の中にテーマがある。どうして、これを書いたのかというライターの立場から監督する」と説明。その上で「(撮影で)うまくいかないから変えるのではなく、なぜ書いたかを考える。書いた側…3、4年、このシーンを書いたことを考え、ライターという観点を離さない」と続けた。

そして「自分が出来るより、もっと良くするように我々を持ち上げる。間違えながら新しいことをやる。実際にやってきたことで満足するわけでなく、極限に挑むことにチャレンジする」と、キャメロン監督の飽くなき映画製作への意欲を熱っぽく語った。