ツイッターを買収した実業家のイーロン・マスク氏(51)が、反ユダヤ主義的な投稿をしてアカウントの一時停止処分を受けたラッパーでファッションデザイナーのカニエ・ウェスト(45)について言及した。あるユーザーから、「人種差別や反ユダヤ主義的な発言を繰り返すウェストのアカウントをなぜ復活させたのか」質問されたマスク氏は、判断は自身が買収する前に行われたことだと回答。自身はその決定に関して相談も知らせも受けていないと述べ、関与を否定した。

ウェストは今月初めに約2年ぶりにツイッターに更新し、「ユダヤ人にデスコン3(安全保障上の脅威を示す軍事用語デフコンをもじった)する」とツイート。これがツイッターのポリシー違反だとして投稿が削除され、後にアカウントが一時凍結された。ウェストと友人関係であるマスク氏は、この投稿が行われる直前にツイッターに復帰したウェストに、「おかえり、わが友!」とツイートしていた。

マスク氏はツイッターを買収した理由について、「金もうけのためではなく、愛する人類を助けるため」と説明。文明の未来のために共通のデジタルな町の広場が必要だと述べ、「健全な形で暴力をふるうことなく、幅広い考えを話し合うことができる場所」にする目標を明かしていた。買収後は、パラグ・アグラワル最高経営責任者(CEO)ら上層部4人を解雇したと報じられている。

ウェストのツイートを巡っては、元妻でタレントのキム・カーダシアンが「ヘイトスピーチは決して許されるものではなく、正当化できない」とツイートするなど各方面から批判が殺到。契約していたアディダスなど大手ブランドからも次々と契約を打ち切られる事態に発展している。報道によると、ウェストのアカウントには投稿に制限がかけられていたが、現在は解除されているという。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)