岡本玲(31)が4日、東京・ユーロスペースで行われた主演映画「茶飲友達」(外山文治監督)初日舞台あいさつに登壇。

21年3、4月に667人が参加して10日間、行われたワークショップ・オーディションで選ばれてから2年をへて公開され「本当に、長かった…見ていただけて、うれしい。その思いでいっぱいです」と感激した。

「茶飲友達」は、2013年(平25)年10月に、会員男性1000人、女性350人(平均年齢60歳前後で、最高齢は男性88歳、女性82歳)男性経営者も70歳という高齢者売春クラブが、警視庁に摘発された実際の事件がベース。その事件に、外山文治監督(42)が着想を得て、プロデューサーを兼任し、脚本から作り上げた社会派群像劇だ。

岡本にとって「茶飲友達」は、08年「憐 Ren」以来15年ぶりの主演映画だ。劇中で、高齢者専門の売春クラブ「茶飲友達(ティー・フレンド)」を運営する代表の佐々木マナを演じた。「ティー・ガールズ」と名付けられた65歳以上のコールガールたちに仕事をあっせんし、ホテルへの送迎と集金を繰り返す役どころだ。オーディションに合格し、脚本を読んだ当時を振り返り「実際に起きた事件ということを知らず、打ちのめされました。社会から漏れ出た人の群像劇…誠実に脚本に向き合わないと、お客さんに伝わらない、と思ったのが脚本を読んだ感想」と振り返った。

映画は、イタリア・ローマで開催のアジアン映画祭(3月30日開幕)コンペティション部門への出品が決まった。外山監督は「高齢化社会は、日本だけではない。(海外は)性の感覚が違うのでリアクションが楽しみ」と期待した。

岡本は「うれしい…言葉が出ない」と感激した。実際の映画は高齢者の事件だが、映画は主演の岡本演じる高齢者専門売春クラブの経営者、運営側を若い世代に置き換え、高齢化社会と低賃金などで先行きが見えず行き場のない若い世代という、日本社会が抱える2つの課題を巧みに織り込んだ。そのことを踏まえ「若者とお年寄りの孤独…日本の縮図のような作品と言っていたので、うれしい。賛否もそうだし、出来事のどこに嫌悪感を持ったり、社会のスタンスは自分がこうなんだと実感できる作品になったと思う。社会で議論し、話すきっかけになるとうれしい」と語った。

この日は「茶飲友達」を利用する客の時岡茂雄を演じた渡辺哲(72)コールガール松子役の磯西真喜(60)「茶飲友達」で働く朝倉千佳を演じる海沼未羽(22)も登壇した。