WBC日本代表が順当に結果を出している。ベテランも若手も、おのおのが勝負強さを発揮。その姿に「私も勝負強くなりたい」「強いメンタルを持ちたい」などと思う読書も多いだろう。確かにメンタルトレーニングを行うアスリートは多く、マインドコントロールは重要な要素の1つだ。そこで読者にもきっと参考になりそうな、2人のマインドコントロールを紹介する。

3月某日。都内で行われた「テニスペアカップPRイベント」に出席したのは、お笑いコンビ錦鯉だった。51歳の長谷川雅紀と44歳の渡辺隆。21年のM-1グランプリで優勝し、今でこそ多くのメディアに登場するなど売れっ子芸人となったが、長谷川も自虐するほど売れない時期がとにかく長かった。

そんな2人がテニスの魅力を語ったり、車いすテニスの体験をするなどして同イベントを盛り上げた。さえ渡る、長谷川の天然と渡辺のキレあるツッコミ。司会者との軽快なトークのラリーも披露し、堂々とした安定感のあるPRぶりを見せた。

すると司会者からメンタル面も重要とされるテニスだけに、メンタルの強さを問われた2人。まず渡辺が「僕らは20年以上売れずに芸人やってきましたから。多少のことでは何も思わない。強いんじゃなくて、何も思わない。出来ないのが当たり前でしたので」と話すと、長谷川が「まさにそのと通りですよ。慣れてきて感じなくなってきました。メンタルの向こう側と言いますか」と続けた。いわゆる“開き直り”である。それは長谷川も「どうでもいいやって。いい意味で開き直りですよ。好きにしてくれって」と認めている。

次に問われたのは「験担ぎやルーティンはあるか」だった。確かに多くのアスリートがするように、何らかの験担ぎを行う芸人も多い。長谷川は「よくお笑いコンビだと出番前に背中たたいたり、グータッチとかするけど…。何もないですね。あんまり結果を出さなくちゃ、とか、優勝しないと、とか考えると硬くなるので」と話せば、渡辺は「やらないのがジンクスぐらいな感じです。もしルーティンとか験担ぎがあったとすると、急な出番の時に出来なかったりする。そうすると焦ったりするから」と持論を展開した。

2人のメンタルの特徴は、アスリートに置き換えるとすれば「開き直り」と「自然体」となる。ただ、誰しもが結果を手にしたいし、何かにすがりたくなるもの。経験豊富なベテランだからこその境地と思えた。また、2人とは逆で強い信念を持って験担ぎをする人も多くいる。だから正解はない。自分に合ったマインドコントロールを見つけることが大切だと知らされた。【佐々木隆史】