昨年4月に第1子を出産した女優石原さとみ(36)が、映画「ミッシング」(24年公開、吉田恵輔監督)に主演することが3日、分かった。母となって初の映画撮影。娘の失踪事件をきっかけに、情報の荒波に巻き込まれ翻弄(ほんろう)される母親役に挑む。脚本は吉田監督のオリジナル作品。

石原は「6年前、吉田監督に、どんな役でもいいから一緒に仕事がしたい、と直談判しに行きました。そこから数年後、この作品の連絡をいただき、うれしさのあまり叫びました。妊娠出産を経て、ついに憧れの吉田組で、1年9カ月ぶりのお芝居を今しています。わが子という自分の命よりも大切な存在を知った今、この役柄は本当につらく苦しく精神が削られます。ですが、今の私だからこそ、できる役です。大きな覚悟を持って最後まで沙織里を生きていきます」とコメントした。

吉田監督も「本作は自分のキャリアの中で最も覚悟のいる作品になります。執筆中から何度も手を止めてしまうほど、つらく苦しい現実を描きました。主演の石原さんを筆頭にキャストたちはメンタルが削られる芝居の連続だと思います。しかし、どんな状況でも前に進む強さ、他者への想像力や共感。人間の愚かしくも美しい瞬間を撮影できたら幸いです。どうか我々の覚悟がみなさまに届きますように」。石原の起用には「脚本を書いた時、いちばん思い浮かばない人をキャスティングしてみたかった」と語った。

物語は、とある街で少女の行方不明事件が起きるところから始まる。あらゆる手を尽くして娘を探すも、有力な情報も手掛かりも無い。行方不明になった時、母の沙織里は好きなアイドルのライブに足を運んでいた。その事実と茶髪メッシュの風貌ゆえに、ネット上では「ライブ狂いで育児放棄の母」という誹謗(ひぼう)中傷の投稿がなされ、いら立ちを募らせる。徐々に冷静になっていく夫との温度差も感じ始め、夫婦げんかも絶えない。事件発生当初こそメディアも大きく取り上げたが、世間も興味を失っていきマスコミの関心も薄れるが、地元のテレビ局だけは奔走する沙織里の取材を続けていた。

事件をきっかけに崩壊する日常や、つらく悲しい現実。そこに直面する母親とその家族たちの姿、事件を「題材」として扱い視聴率のために「偏向報道」にかじを切ってしまうマスメディアの姿、やじ馬的興味本位から心無い言葉が満ちあふれる現代社会の闇を鋭く描く作品だ。

3月23日にクランクインし、現在、撮影中。