デビュー30周年を迎えている歌手市川由紀乃(47)が4月26日に、新曲「花わずらい」を発売した。発売日には、京都・伏見稲荷大社で新曲奉納とヒット祈願が行われ、取材した。
伏見稲荷大社は、全国に3万社はあるといわれる稲荷神社の総本宮。歴史が始まったのは、平城京遷都が行われた翌年の711年初午(はつうま)の日で、伏見稲荷大社の御祭神である「稲荷大神」が稲荷山に鎮座したことが紀元だと伝えられている。
同大社は、2人目には女の子がほしかったという市川の母(78)が願掛けに参拝。願い通りに、授かることができたという縁起のいい神社だ。
市川には7歳年上の兄がいた。兄は生まれつき脳性まひの障がいがあったが、誰よりも妹の歌唱を楽しみにし、誰よりも妹を応援していたが、08年に39歳の若さで亡くなった。「兄のためにも…」はいつも、市川が胸に秘めている言葉だ。今回のヒット祈願に同行した母は、いつも行っている娘を授かったことへのお礼とともに、娘の紅白復帰を祈願していた。
同大社は、市川にとっても思い出深い場所だ。16年に、ヒット祈願と歌の奉納を行い、念願のNHK紅白歌合戦出場を果たした。今回は、30周年という節目でもあり、千本鳥居の中に自身の鳥居も奉納した。
ちなみに、この鳥居を奉納するための金額を取材したが、関係者の口は重い。祈祷(きとう)の金額と同じなのだろう。この千本鳥居の入り口にある、大きな鳥居を奉納したのは電通。そして、その手前に後から奉納したのは花王だ。この2本の社名を聞けば、それなりの金額だと想像できる。さらに、しつこくこっそり大社関係者に聞いたところ、数千万円という金額を耳打ちしてくれた。ただ、鳥居の制作費用も込みかどうかまでは不明だ。
新曲の発売日はあいにくの雨だった。それでも、ヒット祈願のおはらいを受けた市川は、歌唱する舞台に立つ。1番を歌い終えようとした時、機材トラブルに見舞われてしまう。それでも、数々の場数を踏んでいる市川だけに、すぐに、得意のMCで切り抜ける。雨の中、由紀乃の法被姿で駆けつけたファンからは、大きな声援が飛んだ。今度はしっかりと歌いきった市川は「乗り越えるパワーを伏見稲荷さまからいただけたのでは」と前を向くと、歌唱後には雨が上がった。
新曲は、恋心や愛欲の葛藤を“花わずらい”と表現、一夜患う恋心を華麗に表現した作品。30周年の記念曲とあって、市川も楽曲制作の段階から参加したという。「私にとっての原点の海峡作品とか、本格的な演歌とかご意見がある中、私は新しいものにチャレンジしたいと思いました。サビの部分から入る楽曲を歌いたいとお願いしました」。
市川にとって昭和の歌謡曲といえば、クリスタルキング「大都会」の印象が強かったという。サビから入る楽曲が届けられ「最初から好きな曲で、次に大好きになり、最後は愛してるになりました。歌えば歌うほど、聞けば聞くほど自分の中でより染み込んでいく歌なので、本当に大好きな曲です」。
同大社での歌の奉納は16年に続き2度目。前回は紅白初出場を決めた。今回も紅白出場を祈願しており「今から7年前、40歳の時に夢がかないました。それだけでも十分幸せなんですけど、また再び夢を追いかけたい。ファンの皆さんと一緒に喜びを分かち合える年にしたい。30周年なので、その気持ちはより強いです」と紅白復帰を誓った。
今回はヒットと紅白出場を祈願したが、プライベートでの願いは封印した。
「今年は自分の中で走り切りたいという思いが強いんです。ゴールテープを切れたと思った時に、何かいいご縁が舞い込んでくるといいですね。いつでも左手の薬指はあけています」。 いつも控えめで謙虚な市川だったが、かなり突っ込んだ発言だった。今年の紅白復帰がかなえば、もしかしたら来年あたりは、ハッピーな報告が聞かれるかもしれない。
とはいえ、その発言の後には、次の言葉も続く。「母も、1度ぐらいはお嫁に行きなさいと。帰ってきた時にはちゃんと迎え入れるからって言われています」。
別れることが前提っていうのもと、報道陣から突っ込まれると「そうですね。歌の世界では添い遂げられないことが多いけど、プライベートは添い遂げたいと思います」と笑顔で語った。【竹村章】



