稲垣吾郎(49)と新垣結衣(34)が共演する映画「正欲」(岸善幸監督、今秋公開)に、磯村勇斗(30)劇団EXILE佐藤寛太(26)東野絢香(25)が出演することが1日、分かった。

「正欲」は、小説家の朝井リョウ氏(33)の柴田錬三郎賞受賞作の映画化作品。不登校の息子が世間から断絶されることを恐れる検事・寺井啓喜を稲垣が、特殊な性癖を持つことを隠して自ら世間との断絶を望む、寝具販売員の桐生夏月を新垣が、それぞれ演じることが22年9月に発表されている。

磯村は、22年の映画「前科者」に続く岸善幸監督作品への参加となる。劇中では、夏月の中学時代の同級生で、両親の事故死をきっかけに中学3年まで暮らしていた広島に戻ってきた佐々木佳道を演じる。夏月とは、誰にも言えない秘密を共有しているという役どころだ。

佐藤は、大学生でダンスサークルに身を置き、準ミスターに選ばれるほどの容姿を持つ諸橋大也を演じる。一見、華やかな場所にいるように見えるにもかかわらず、人との交流を避け、心を誰にも開かずに日々を過ごす役どころだ。

東野は、大也と同じ大学に通い、学祭実行委員として大也が所属するダンスサークルにイベント出演依頼をする神戸八重子を演じる。通学中や講義中も異性と目を合わさぬよう、触れることがないようにやり過ごそうとしており、自分の気持ちに戸惑いながらも心に従おうと、まい進する役どころだ。20年のNHK連続テレビ小説「おちょやん」で注目された東野にとって、今作が映画初出演作品となる。

劇中では、無関係に見えたそれぞれの人物の人生が、ある事件をきっかけに交差する。磯村と佐藤、東野は、それぞれコメントを発表した。

磯村勇斗 今回の作品では、自分の指向とは異なる人物を演じなければならなかったので、その感覚を体になじませるのが難しかったです。ですが『前科者』でご一緒させていただいた岸監督とだったので、信頼しながら作り上げていきました。クランクイン前や現場で監督と話し合い、丁寧に佐々木佳道に寄り添っていきました。難しい題材ではあるものの、今の時代に問う作品になっていると思います。

佐藤寛太 自分の身体の目に見えるところに傷をつけられたような、今後一生自分が向き合っていくことになるものだと気づかされた。というか知らされた、知らしめられたという感覚でした。準備期間前に自分が当たり前だと思っていた価値観が崩れる不思議な体験でした。くいを1本1本打ちながら登っていく力強さを大也に感じたから、それは誰にでもあるものじゃないから、勇気をもらうじゃないけど、今までにない感じ方をした役柄でした。岸監督の演出のなにがすごいって、遠回りをさせてくれる。簡単に答えを出さないから、遠回りして見た景色を現場の本番というゴールに来た時にもうひとつ昇華させてくれる、一緒に考えてくれる。欲しい言葉をくれるというのもあるけど、絶えず考えさせてくれるし、信頼してくれてるのがすごく分かるから、気張るという意味ではなく、応えたいと思うし、この監督が創る作品のなかで、重要なピースでいたい。と気持ちよく思わせてくれる。今回ご一緒させていただいて、ここに呼ばれるように自分を削っておきたいな、と思いました。どこかでまあこれでいいかと思わず、ずっと削っておきたいです。こんな組に携われることはなかなか無いから、ここでできることは全部出しときたいな、この作品、この役に悔いを残したく無いな。と思いました。この映画観てくれたひとがみんな傷つけばいいのに、傷ついてハッとして人にやさしくなればいいのにって思います。

東野絢香 原作を読んだ時に感じた、喉の奥に広がる苦さが逃げないよう、丁寧に撮影を重ねて挑みました。全てを愛する事は、難しいです。ですが、あの日、カメラの前に立ったあの瞬間は、心からなにかを愛せたと思います。1秒1秒がスローモーションに感じたあの時間や空間を、私は生涯忘れません。この作品が、誰かにとっても、そう記憶される映画になればと、万感の思いでいっぱいです。

また、登場人物5人の写真が初解禁された。