歌舞伎俳優市川猿之助(47)が自宅で倒れ救急搬送されてから一夜明けた19日、亡くなった歌舞伎俳優の父市川段四郎さん(76)と母喜熨斗(きのし)延子さん(75)の司法解剖が行われ、向精神薬中毒で亡くなった疑いがあることが分かった。

猿之助は都内の病院を退院。一家心中を図った疑いも浮上し、事情聴取に「家族会議をした」と説明していたことも分かった。また、搬送4日前の生配信トークでは意味深な言葉を発していた。

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18日に救急搬送された猿之助は、東京・明治座「市川猿之助奮闘歌舞伎公演」に昼夜にわたって出演しており、14日午後8時には共演する若手歌舞伎俳優3人とのトークが生配信された。夜の部終演直後だったため、猿之助はぐったりした様子で参加。風呂に入って化粧を落としたばかりということで「髪もぼさぼさで、これで押さえてます」と頭にサングラスを載せ、苦笑いした。

前半は静かなトーンでトークが進んだが、だんだんとテンションが上がり、昼の部「不死鳥 波濤を越えて-平家物語異聞-」で歌を披露している話題になると「みんなで歌う?」とノリノリに。ソロで歌い出し、中村壱太郎、中村米吉、中村隼人も加わった。気分が上がってきたのか「オーイェ~」と合いの手も。「ライブじゃないんだから」と止められたが、うれしそうに大笑いしていた。

さらに、劇場で楽しめるサンドイッチやデザートを試食する場面ではダジャレが止まらず、4人でのダジャレの応酬になる場面も。疲れたところからのトーク開始で、段々とハイにギアが上がったという見方もあるが、視聴者からは「休むことなく走り続ける猿之助さんが心配」との声もあった。

猿之助は、27日が最後の上演となる「不死鳥-」(公演は28日千秋楽)について「無事に27日を迎えられるか分かりませんが、命の限り…」と将来について意味深に語り「だって何が起こるか分からないんだから」と続けた。テンションが上下したようにもみえた。

「女性セブン」は性加害疑惑などを猿之助に直撃したのは15日夜としている。生配信トークはその前で、因果関係などは不明だが、配信の時点で何らかの情報が猿之助側に伝わっていた可能性もある。

今後について猿之助は「一門を超えてすべての人に歌舞伎のための力になってほしい。門戸を開かないと。世の中の境界は取れているから、これからもっと取れていくんじゃないか」と語り、歌舞伎以外で活躍する俳優の起用を今後も続けていくとした。来年2~3月の「鬼滅の刃」まで決まっている中、楽しそうに歌舞伎について語っていたが、一転、先行きが見えなくなってしまった。

◆向精神薬 睡眠薬、抗うつ薬、精神安定剤、抗不安薬などの薬剤の総称。パニック障害や睡眠障害などの治療に用いられる。覚せい剤・麻薬・大麻などと同様に中枢神経に作用するもので、依存症になる可能性もあるなど、乱用の危険性と治療への有用性により3種類に分類されている。服用には医師の処方箋が必要で、他人に譲渡したり、譲り渡す目的で所持することは禁止されている。

◆自殺関与罪と殺人罪 刑法202条には「人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する」とある。亡くなった人に自殺の意思があり、それを手助けした場合には、この自殺関与罪に問われる可能性がある。また、亡くなった人に自殺の意思がなかった場合に、死に至らしめるようなことをした場合は殺人罪となり、刑法199条により「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する」と量刑が重くなる。

 

◆主な相談窓口 ・いのちの電話 ナビダイヤル=0570・783・556(午前10時~午後10時) フリーダイヤル=0120・783・556(午後4時~同9時。毎月10日は午前8時~11日午前8時) ・日本いのちの電話連盟 https://www.inochinodenwa.org/