5人組お笑いグループの超新塾は、先月20日に行われた結成16年目以上が対象のフジテレビ系「THE SECOND~漫才トーナメント~」グランプリファイナルに出場。準々決勝で囲碁将棋に敗れるも、大きなインパクトを残した。

M-1の4分間の漫才と違って、今大会は6分も与えられた。後編は大会の舞台裏や今後の展開について語った。【取材・構成=高橋洋平】

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M-1の4分と違って、2分も多く使える時間をどう生かすか。優勝するために、超新塾は知恵を絞っていた。

タイガー福田(47、以降タイガー) 最初、お客さんをつかむために何をやるか、みたいな。4分とかだったらいきなりパッと出て、パッとネタに入らないと間に合わない。時間が短いから。6分あるならそこを有意義に使って、お客さんをどうつかむか、みたいな。そこから、お客さんをつかんで、どこをどうやっても笑えるようなネタを組み込んでいく作業を、ずっとみんなでやってました。

サンキュー安富(48、以降サンキュー) 僕ら一番得意なのが営業なんですね。営業ってだいたい、4分よりは絶対長いので、営業スタイルでできた。(本番のつかみで見せた)座高の高さが一緒とかも、営業でいつもやってるスタイル。絶対つかめるスタイルなんで、それでできたっていうのはよかったかもしれないですね。

グランプリファイナルを勝ち抜くには3本の漫才が必要だった。

イーグル溝神(47、以降イーグル) 単独ライブをやっている感覚というか、準々決勝で負けちゃったんですけど、(グランプリファイナル)1本目、2本目、3本目でまとまるようなシステムを作ってたんですよ。全部やった時にもう少し幅で見てもらえたらいいなとは思ったんですけどね。3本目はむちゃくちゃスピードがあって、ドーンっていうネタを作ってたんですよ。めちゃくちゃ速いスピードでやるやつで。

サンキュー 昔の爆笑レッドカーペット(フジテレビ系)時代ぐらいの1分のやつを、後半に畳みかけるっていうネタが控えてたんですけど…やりたかったですね。

タイガー 優勝せんでいいから、あれをやりたかった。

イーグル それで圧倒的にパワーで押し切るっていう超新塾スタイルを見せたかったんですけど、悔しかったですね。

ネタの並べ方にも戦略が出る。超新塾は壮大なスケールで作戦を考えていた。

イーグル 1発目の準々決勝のボケと準決勝のボケの伏線回収を決勝戦に用意してたんですよ。準々決勝、準決勝を見てないと決勝のネタはつながらないんで。3部作的な、単独ライブみたいな感覚です。

アイクぬわら(36) 最後まで見たら、めちゃくちゃ笑いますよ。

イーグル そこの部分は絶対に笑い取れるところだったと思いますし。1回戦の時から、そこはじわじわウケていたところなので。温まっていたところなので、それをどう回収していくかというところで、決勝に用意してたんですけど。

グランプリファイナル進出までに、強敵のジャルジャルとCOWCOWを連破。準々決勝で囲碁将棋に敗れたものの、ただで帰らないのが超新塾。得点シーン後には、とっさに人文字で「正」をつくり「囲碁将棋がやってきたことは正しい!」とエールを送った。

イーグル 負けても爪痕を残そうって、相手を立てたいっていうのもあります。見てもらったら分かるんですけど、小さいワイプでずっと映ってて、囲碁将棋の点数が出ている時に小声で「あれで行く」と指示を出してるんですよ。1回見てもらったら分かると思うんですけど、小さい枠の中で、小さい打ち合わせがあったんですよ。

今後の展開に注目が集まる。超新塾のYouTubeチャンネル「超新塾ちゃんねる」は約31万人のチャンネル登録者数を誇り、TikTokでは約17万人のフォロワーを抱えている。すでにSNSでは反応が増しているという。

イーグル ツイッターのいいねとかフォロワー数とかが、一気に上がった。世の中ちょっと変わってきてるかも、僕らの見方が。

イーグルのツイートも話題になった。イーグルは革ジャンの胸ポケットに24歳の時に他界した父からの年賀状を潜ませていたことを、大会後にツイッターで明かした。テープで補修されたボロボロの年賀状には「マンザイがんばれ 父より」と記されていた。いいねとリツイート合計で1万以上の反応があった。

イーグル 年賀状をポケットに入れて大会に臨みましたって言っただけなんですよ。それがすごく感動的に捉えてくれて、いろんな方が言ってくれて。佐久間(宣行)さんのラジオ(ニッポン放送『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』)の中でも言ってくれました。

今日2日には「THE SECOND」明け初ライブ出演となる「東京センターマイク」に登場。「THE SECOND」ファイナリストのスピードワゴンと共演する。同日深夜にはフジテレビ系「ネタパレ」(金曜午後11時40分)にも出演。吹きまくっている追い風に乗って、着実に足場を固める。

イーグル ギャロップとかマシンガンズとともに僕ら、グランプリファイナルに残った人間が、今ある仕事よりも増えてないと。逆に僕らは今後の仕事で、ギャロップやマシンガンズを巻き返すこともできるんで。それができることによって多分、夢のある大会になると思う。これからが勝負っていうのがあるかもしれないですね。来年、僕らがどうなっているか。これを機会に売れることが、本当の「THE SECOND」ってことなんです。

「THE SECOND」は終わってない。これからが始まりだ。

イーグル 決勝に行くことで夢があるっていうのが、一番いいんじゃないですか。昔のM-1みたいに決勝に行ったやつは全員が売れるって。言うても、おぎやはぎさんや千鳥も当時は最下位だったりするわけじゃないですか。その漫才師があれだけ上がっていくということは、M-1くらい夢のある大会になると思いますよ。ここからつかみにいくのが、僕らの仕事です。(おわり)

<今後の出演予定>

▼6月2日 「東京センターマイク」(東京・西新宿ナルゲキ)

▼6月2日 フジテレビ系「ネタパレ」(金曜午後11時40分)

▼6月10日 「K-PRO大旋風」(東京・西新宿ナルゲキ)

▼6月中公開 YouTube「しくじり学園放送室」(23分1発撮りノーカット)

 

◆超新塾(ワタナベエンターテインメント所属)01年10月に結成。

▼イーグル溝神(本名、溝上洋次=みぞかみ・ようじ)。1975年(昭50)10月4日生まれ、兵庫・神戸市出身。

▼タイガー福田(本名、福田善計=ふくだ・よしかず)1975年(昭50)10月2日生まれ、岡山・津山市出身。

▼サンキュー安富(本名、安富郁矢=やすとみ・いくや)1975年(昭50)5月6日生まれ、広島市出身。

▼ブー藤原(本名、藤原直樹=ふじわら・なおき)1975年(昭50)11月3日生まれ、大阪・堺市出身。

▼アイクぬわら(本名、アイク・ヌワラ)1986年(昭61)6月5日、米国ニューヨーク生まれのシアトル育ち。11年にオーディションで選ばれ加入。