役所広司(67)が23日、東京・TOHOシネマズシャンテで行われた主演映画「PERFECT DAYS」(ヴィム・ヴェンダース監督)公開記念舞台あいさつで、21日(日本時間22日)に米アカデミー賞国際長編映画賞(旧外国語映画賞)のショートリストに入ったことに期待を寄せた。
役所は同作で5月にカンヌ映画祭男優賞を受賞し、9月4日に日本代表に選ばれていたが「そうですね…日本代表と言うとね、WBCじゃないですけど、選手代表って感じですね」と、野球に例えて誇らしいことであると強調。1次審査を勝ち抜き、ノミネート入りに前進したことに「ここまで来ましたけど、あと1歩、前に進めるといいなぁと思っています」と笑みを浮かべた。
この日、上映された劇場は、ヴェンダース監督が1987年(昭62)カンヌ映画祭監督賞を受賞した監督作「ベルリン・天使の詩」が、翌88年に日本公開され、30週にわたってロングラン上映された、縁の深い劇場だった。同監督からのビデオレターも寄せられ、その中で役所を「この地球上で最も偉大な俳優のひとり、役所広司さんと東京で映画を一緒につくるということは、素晴らしく美しい贈り物のような出来事でした」とたたえた。また「皆さんもぜひ、世界中の人々と同じように平山さんとの時間を楽しんでください私は平山さんの日々の一部になれたこと、そして、この映画がアカデミー賞の日本代表に選んでもらえたんです。とてもうれしく思っています。みなさんもこの先の幸運をぜひ祈っていてください。バイバイ」と、アカデミー賞日本代表入りを改めて喜んだ。
役所は「監督は、自分がドイツ人なので、日本代表に選ばれるのに障害があるのでは? と気にしていた。『良かった』と喜ばれてホッとしていた。優しい方です」とヴェンダース監督に感謝した。
「PERFECT DAYS」は、ヴェンダース監督が東京・渋谷を舞台に役所を主演に撮影した最新作で、自ら脚本も担当。製作は22年5月に東京で開かれた会見で発表された。世界的に活躍する16人の建築家やクリエイターがそれぞれの個性を発揮して、区内17カ所の公共トイレを新たなデザインで改修する、渋谷で20年から行われているプロジェクト「THE TOKYO TOILET」のトイレを舞台にするため11年ぶりに来日。シナリオハンティングなどを行い、撮影は全て東京で行った。役所は、渋谷で公衆トイレの清掃員として働く平山を演じた。製作国は日本で「ユニクロ」を中心とした企業グループファーストリテイリングの柳井正代表取締役会長兼社長の次男・柳井康治取締役がプロデューサーを務め、個人プロジェクトとして21年に立ち上げた有限会社MASTER MINDが企画発案、出資、製作、映画初プロデュースを手がけた。
この日は、役所の演技を絶賛する声が相次ぎ、客席から“役所さんコール”も起きた。役所は「今日は、僕を褒める回みたい」と照れ笑いを浮かべた。舞台あいさつには、平山の同僚清掃員タカシ役の柄本時生(34)と、平山のもとに突然、訪れる、めいのニコ役の中野有紗(18)も登壇した。米アカデミー賞のノミネートは、24年1月23日に発表される。
◆「Perfect Days」東京・渋谷でトイレの清掃員として働く平山(役所)は、淡々と過ぎていく日々に満足している。毎日を同じように繰り返しているように見えるが、彼にとってはそうではなく、常に新鮮で小さな喜びに満ちた、まるで風に揺れる木のような人生である。昔から聴き続けている音楽と、休日のたびに買う古本の文庫を読みふけるのが喜びで、いつも持ち歩く小さなフィルムのカメラで木々を撮る。平山は木が好きで、自分を重ねているのかもしれない。ある時、平山は思いがけない再会をし、それが彼の過去に少しずつ光を当てていく。



