上方を代表する女性漫才師、今くるよさん(本名・酒井スエ子=さかい・すえこ)が27日、膵(すい)がんのため、大阪市内の病院で亡くなった。所属の吉本興業が28日、発表した。

   ◇  ◇  ◇  

「今いくよ・くるよ」が漫才コンビとして脚光を浴びたのは、1980年の「漫才ブーム」がきっかけだった。ともに会社勤めをへて、70年代に師匠についてから約10年。本人たちも「下手くそ」と自覚し、芸を磨くのに時間を要した。

80年代の「花王名人劇場」出演で大きく変わった。くるよさんがおなかをポンとたたき、大ウケ。それまでは、やや地味な印象で、横山やすし・西川きよし、中田カウス・ボタン、オール阪神・巨人らの陰に隠れていたが、漫才ブームにのり、一気にブレークした。

そこまでの下積み時代があったため、誰に対しても偉ぶることなく、フレンドリーに接した。芸人の世界では、どちらかといえばアクが強く、キャラの濃い人が多い中、異色でもあった。互いを思う心も強く、いくよさんにまつわる不本意な記事が出た際には、くるよさんが怒った。

後輩芸人の世話を焼くのも、好きだった。ケツカッチンの高山トモヒロに3人目の赤ちゃんがもうすぐ生まれるという頃、高山を焼き肉に誘った。

「もうすぐ生まれるんやて? 名前は『高山どやさ』にしたら?」

自分のギャグをあげて場を和ませた。海原お浜・小浜、海原千里・万里以来の、会場に爆笑を呼んだ女性漫才コンビ。その後ハイヒール、海原やすよ・ともこ、紅しょうが、天才ピアニストらが後を追っているが、上方漫才界におけるいくよ・くるよの功績は絶大。いくよさんが亡くなった際、芸人では初めて、NGKで「お別れの会」が開かれたほどだった。【芸能担当=三宅敏】